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【レポート】M&Aを成功に導くポイントは早めの決断

M&A交渉のセカンド・オピニオン

センターからのアドバイスを受けつつ、事業承継に臨む整理作業を慎重にすすめ、民間のM&A事業者を選択する段階になったときにはどのような点に留意すべきなのか。美野氏に聞いた。

「M&A事業者を選定するにあたり、重要な事項はいくつかありますが、中小企業庁は2020年3月に〝中小M&Aガイドライン〟を策定し、M&Aの基本的な事項や手数料の目安を示すとともに、M&A業者等に対して、適切なM&Aのための行動指針を提示しています。具体的には、M&Aをすすめる留意点として手数料の算定基準や支払いの時期、交渉継続の期間、交渉過程の秘密保持、セカンド・オピニオンへの依頼が可能かどうかなどの項目をあげ、M&A事業者に事前の明示を求めています」

また、同庁は中小企業の貴重な経営資源を将来につなぐ目的で本年4月28日に〝中小M&A推進計画〟をとりまとめ、今後5年間に実施すべき官民の取組を示している。さらに本年8月には〝M&A支援機関の登録制度〟を創設し、すでに運用をはじめている。同制度への登録にはガイドラインの遵守を宣言するだけでなく、M&Aの実績の報告も義務付けられており、M&A事業者を選ぶにあたって一定の目安になりそうだ。もちろんセンターが二次対応でとりつぐ事業者も各センターの登録事業者にかぎられる。裏を返せば、M&Aの交渉期間に定めがなく、何かと手数料を請求してくるM&A事業者が少なからず存在するのだろう。

しかし、M&Aについては監督官庁が設けられておらず、中小企業庁が創設した制度への登録済み事業者(2300社)であっても着手金や手数料、成功報酬などの基準が決まっていない。そこでセンターはM&Aの交渉中や成約直前でさえ相談に応じるセカンド・オピニオンの役割も担っている。

財務諸表では評価しきれない知的資産

さらにM&Aの具体的な検討に入った売り手側の経営者にとって悩みどころはもうひとつ。現状の売上や設備などの価値は数値で評価されることになるにせよ、数値化されない知的資産はどのように評価されるのか。交渉相手を探しつつ、いまからでも高めておけるものなのか。

「知的資産とは、財務諸表にあらわれない企業価値のことで従業員の質や取引先の評判などがあります。とくに従業員の質に関しては、次世代へ仕事のノウハウがしっかり伝えられているか、仕事にとりくむ従業員の姿勢はどうなのか。売り手側企業へ見学に来た交渉相手はこういった状況も評価にくわえるため、経営者のリーダーシップのみならず、日ごろからの研修制度も重要な評価ポイントになると意識しておくことが大切です」(美野氏)

なおかつ留意すべきは、M&Aが成約に至るまでの期間だ。交渉が最大2年におよぶケースさえまれではないという。

政府は2016年からの10年間を事業承継の集中期間に据え、M&A事業者に支払う経費の補助金制度(上限250万円)なども整えている。〝いつかは事業承継を〟と課題を先送りにせず、経営状態が正常なうちに思い切った決断を下すべきなのだろう。


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