全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)の阿部恭久理事長は9日、東京都新宿区市ケ谷の遊技会館において記者会見を開催し、理事長就任にあたっての展望や所感を明らかにした。阿部理事長は6月24日開催の総会のなかで選出されたばかり。新理事長が就任に際して会見を開くのは異例だが、オープンな全日遊連の新体制を記者らに印象づけた。
阿部理事長は、ファン減少、遊技機の在り方、パチンコ業界による社会貢献、カジノ解禁といったトピックスについて言及し、個人としての所感と全日遊連の方針を明らかにした。
まずファン減少については、「パチンコを止めた人に話を聞くと、なかなか当らないこと、回らないことが止めた理由だと言う。お客様にたのしんでいただける(当り、回る)遊技機を作らなければならない。以前に比べて遊技機は画一化しセブン機のみとなったことも、パチンコがおもしろくなくなった原因のひとつ。日工組、日遊協とともに、遊技機の在り方を考えたい。遊べる機械を、メーカーは作っても売れない、ホールはメーカーが作らないと、相手を非難するような状況がつづいている。メーカーはホールが求めたものを作る、ホールはメーカーに作ってもらったものを適正に使うことが大事だ」とし、ホールとメーカーが協力してファンのニーズに応えていくこと、そして全日遊連としてメーカーとホールが対話を深める仕組み作りを行っていく方針であると述べた。
また「アンケートを取ってわかったことは、若いときにパチンコを始めた人の定着率が高いということ。今、ゲーム世代がパチンコをしない理由は、友達に誘われてパチンコに行く機会が減っているから。気軽にホールへ足を運んでもらえる環境作りも考えていかなければならない」と述べて、若年層のパチンコ離れは最近の主力機種がヘビーユーザー向けの仕様となっていることだけが原因ではなく、ファンが来店しやすいようなホール環境を整備できていないことも原因として指摘し、ホールの環境改善もファン人口の回復に向け必要な施策のひとつとして掲げた。
阿部理事長は、パチンコ業界として動向を無視することのできないカジノ解禁に向けた動きについても触れ、「今後、カジノが活発に議論されていくなかで、カジノとパチンコの違いを国民の皆さんに知っていただくことが重要。私は、パチンコはギャンブルではないと思っている。だが実際のところ、パチンコにのめり込む人もいることから、のめり込みの対策をしていくことが重要だ。カジノについての議論とともに、パチンコ税の話も出ていているが、私としてはまず、パチンコ業界は今後も風営法のもとで遵法営業に徹していくべき。業界の健全化を国民に見ていただくことで国民からの理解は得られるだろう。そのためにも賞品の品揃えの徹底をすすめたい」と話し、パチンコ業界は今後も風営法のもとで存続していくべきであると主張した。
記者との質疑応答では、遊べる機械を普及していくための具体策を問う質問に対して阿部理事長は、「メーカーに遊べる機械を作るよう求めているが、一方で各ホールはそういった機械を1台でも入れてみる必要があるだろう。1台でも入れてみないことには結論は出ない。ホールに空いているスペースがあれば、1台でもいいので遊べる機械を入れてくださいと投げかけていくことを徹底しなければ、この問題はすすまない」と答えた。
またパチンコ税とECO遊技機についての質問には、7月の全日遊連全国理事会後の記者会見で話したいと回答した。
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阿部恭久(あべやすひさ)理事長のプロフィール
1959年5月生まれ。埼玉県川口市出身。1983年3月成蹊大学法学部法律学科卒業。1992年8月にサンキョー株式会社に入社。2001年9月に同社代表取締役に就任し、現在に至る。
趣味は、スキー、ゴルフ、旅行。どんなに忙しくてもストレスを感じないとのこと。55歳での理事長就任は、全日遊連史上で最年少となる。
[7月15日・日刊遊技情報]