パチンコ業界14団体を横断的に組織し、業界の実質的な上位団体となっているパチンコ・パチスロ産業21世紀会(21世紀会)は、構成する14団体に対し18日付で「遊技産業の依存(のめり込み)問題対策について」と題する文書(「21世紀会発第237号)を発出した。21世紀会の14団体のうち、遊技産業活性化委員会(活性化委)を構成する全日遊連、日遊協、日工組、日電協、全商協、回胴遊商の6団体がとりまとめ、9月8日開催の同委員会での報告を文書にした。この対策案は、警察庁の担当課長補佐同席のもと8月6日に開催された同委員会で、業界全体としてのめり込み防止対策を強化していくことを決定したことをうけ、策定された。この動きは、活性化委の6団体に限らず、すべての業界団体へと拡がりつつある。
・いま、求められているのは業界全体としての取り組み
業界は、かねてよりパチンコ依存問題の相談機関である認定NPO法人「リカバリーサポート・ネットワーク(RSN)」への支援や、ホールにおける啓発ポスター・ステッカーの掲示などを通じて依存問題対策に取り組んできた。さらに、東遊商支援による啓発ポケットティッシュの配布やホール5団体による「子どもの車内放置撲滅キャンペーン」展開、全商協・回胴遊商による取扱主任者ホール訪問時の駐車場巡回などを実施してきた。活性化委では、パチンコ・パチスロに対する依存、のめり込みに対する社会からの指摘と糾弾は一層の高まりを見せつつあるために、業界全体で取り組む対応策が必要であるとして、活性化委の下に、のめり込み問題を検討するワーキンググループを設置、協議していくこととした。
・各団体によるさまざまな依存問題対策案
のめり込みの未然防止に向けた取り組みとして、第一に挙げられるのは広報活動の強化だ。これについて今回、「パチンコ・パチスロは適度に楽しむ遊びです」を基本とし、「のめり込みに注意しましょう」、「ご遊技は予算と時間を決めてから」などを加えた業界内で統一した標語を作成し、ホールの折り込みチラシ、店内ポスター、DM、ポケットティッシュをはじめ、一般人の目にも付きやすい新聞・テレビでも啓発コピーを用いた広告出稿を実施し、遊技客だけでなく社会に対して周知を図っていく方針が示された。加えて、遊技機の液晶上に標語を表示させる機能、依存問題啓発パンフレットや診断チェックシートの作成と配布、依存問題を抱える人を対象にしたセミナー、専門家による勉強会の開催など、さまざまな手段による取り組みが各団体で検討されている。
また日工組は、手軽に安価で、短時間で遊べる遊技機の開発・提供をはじめ、新型遊技機と接続される玉貸しユニットにおいて、遊技者の遊技金額や遊技時間が一定の設定値に達した場合に液晶に休憩等を促すアナウンスを表示する機能、管理コンピューターに遊技を中止できる機能などといった、ハード・システム面でののめり込み防止策を検討。日遊協、PSA、認証協、自工会では、セーフティーネット(のめり込み抑止策)として自己申告プログラム協力店制度の導入を検討している。
・おおまかな今後のスケジュール
今回の文書で示された対策案は、すぐに実施できるものから、実施まで時間を要するものまでさまざま。とはいえまずは、本年中に共通の標語を決定し、メーカー系各団体がその標語を用いた新聞広告を出稿したい考えだ。そして、本年度内に依存問題対応のガイドラインを策定、ポケットティッシュを全国配布、また翌2015年度には、手軽に安価で短時間に遊べる遊技機の開発および提供と、自己申告プログラム協力店制度の導入を目指す。さらに中長期テーマとして、安全・安心な遊技環境のさらなる拡充・推進、定量制などを視野に入れた営業方法の見直し、相談機関へのさらなる支援強化などを実施するという、おおまかなスケジュールも示された。
全日遊連は19日に開催した全国理事会で、のめり込み防止への取り組みを強化し実施していくことを決議。他団体に先駆け、新たなのめり込み防止対策をスタートさせている。具体的には、10月1日以降に発行するホールの折り込みチラシにのめり込み防止の共通標語を各ホールは挿入するというもので、9月22日より全日遊連組合員専用ホームページで素材データがダウンロードできるようになっている。
21世紀会活性化委の、のめり込み防止問題ワーキンググループの窓口は、暫定的に日遊協内に置かれており、次回の会合を10月2日に予定している。
[2014年9月26日・日刊遊技情報]