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【エリアレポート】千葉県市原市「姉ヶ崎駅」周辺 ~地元市場を牽引するコンセプト

「姉ヶ崎駅」周辺エリアでの稼働トップは『クレスト姉崎店』

編集部ではグランドオープン店舗や注目店舗、注目エリアの稼働調査を実施している。本稿では稼働調査における注目店舗をピックアップし、店舗の詳細およびその市場動向を紹介する。

魅力に欠ける駅前市場

千葉県市原市は、同県中央部の東京湾沿岸に位置し、約27万人の人口を数える。湾岸埋立地には多くの石油化学プラント工場が建ちならび、製造品出荷額が全国2位を誇るなど、国内有数の工業都市だ。一方、内陸部には自然豊かな田園風景が広がり、国内最多のゴルフ場を有する自治体でもある。パチンコ・パチスロ店は湾岸部を中心に19軒が営業をつづけ、今回はうち6軒が点在する「姉ヶ崎駅」周辺エリアの稼働調査を、2月22日におこなった。

JR内房線の「姉ヶ崎駅」までは「東京駅」からおよそ1時間。駅前のバスロータリーは機能的に整備されていたが、同駅の1日平均乗車人員は1万人(2018年度)ほど。県庁所在地である千葉市「千葉駅」の平均乗車人員約10万8000人(同)と比較するまでもなく、駅の近辺はかなり閑散とした印象になっており、飲食店などの数もごくわずか。繁華街と呼べるようなにぎわいもなかった。だからこそ「姉ヶ崎駅」の西口側に位置する『HINOMARU姉崎駅前店』の赤い看板はよく目立つ。

ただ、稼働は低貸パチンコに偏り、高齢者の割合が高かった。駅前に買い物客などを惹きつける魅力的な商業施設が存在せず、総設置台数に対する専用駐車場も116台と少ないことから、自家用車での移動を前提とする地域住民たちは、十分な駐車スペースを確保している大型店へ流れる傾向にあるのかもしれない。

また、JR内房線の東側に位置する『ユートピア』の駐車スペースも200台分と少なく、稼働の中心はやはり低貸のパチンコになっていた。しかし、両店とも駐車場の拡大にはおのずと限界があるだろう。駅に近いことがほとんど利点になってない以上、『HINOMARU』と『ユートピア』の両店は、来店客を徒歩や自転車で移動する近隣住民に絞り込むといった独自のコンセプトをよりつよく打ち出していく必要がありそうだ。

稼働トップは『クレスト』

駅に近い店でありながらそれなりの駐車スペースも確保する〝折衷案〟的な戦略ではなく、出店企画や開店後の運営方針には地域の特性や遊技客の移動手段などをしっかり反映させていく。この点において『クレスト姉崎店』のコンセプトは明確だった。

『ユートピア』と同じ運営企業「三徳実業」が経営する店でありながら、ロードサイド型の『クレスト』は「姉ヶ崎駅」から800メートルほど離れ、敷地内には「シーサイドキッチン」なる食事処を併設するほか、各遊技機にUSB式の充電器も備える。来店客はスマホの電池切れや食事時間を気にせず店内に留まり、遊技を楽しめるに違いない。総設置台数に対する500台分の駐車スペースも十分な数だと言える。エントランスに設けられた休憩スペースも広く取られていて寛げた。

同店の機種構成をみると、ここ1カ月ほどのあいだに販売された「花の慶次 蓮」や「ウルトラ6兄弟」など、最新機種の導入数も『HINOMARU』や『ユートピア』を上回り、「海」シリーズの合計設置台数はエリア内で最多。こうした営業努力が通常貸パチンコの稼働率にあらわれた。ワゴンサービス担当のスタッフ1名を含め、ホールを担当する2名も客に呼ばれて忙しい。全体の稼働率こそ3割をようやく超える程度だが、駅に近い2店では見られなかった光景だった。

※本稿は2020年3月3日付け「日刊遊技情報」に掲載した記事をweb用に編集したものを掲載しております。