厚生労働省が主催する音楽イベント「Re-START みんなで考えよう 依存症のコト」が、17日に東京都中央区の時事通信ホールで開催された。同イベントは依存症の理解を深めるための普及啓発が目的で、その模様はYouTubeでも生配信された。
第1部は、ロックグループのDEENが応援アーティストとして出演し、「応援ライブ&トーク」を行った。第2部は依存症啓発サポーターを務める今田耕司氏のMCにより、杉田あきひろ氏(第9代歌のお兄さん)、清原和博氏(元プロ野球選手)、高知東生氏(俳優)、塚本堅ー氏(元NHKアナウンサー)、田中紀子氏(ギャンブル依存症問題を考える会・代表)が出演。出演者は、各自が回復に向け努力を重ねてきた近況と今後について語った。
第1部では、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部の松本俊彦部長が、ギャンブル依存症になってしまうと考え方が変わると指摘。「ギャンブル依存症の人はいつか勝って取り返せると思っていて、負けたら取り返すのはギャンブルしかないと思ってしまう。勝ったとしても次のための軍資金になってしまうため結局、果てしないサイクルが続いてしまう。専門の機関できちんと診断し、精神疾患と合併している場合もある。医学的な評価の後、その後は自助グループに行って、治療と支援が必要」などと述べた。
第2部では、ギャンブル依存症問題を考える会の田中代表が「いままで薬物で捕まった方たちを自助グループにおいて回復していく取り組みはなかなか進んでいかなかった。今回、花の2016年組(塚本氏・清原氏・杉田氏・高知氏)の著名な方々がつながり、自助グループが立ち上がった」と出演メンバーのつながりについて説明し、回復支援の有用性を伝えた。
ギャンブル等依存症対策基本法は、IR推進法(2016年12月)の付帯決議として盛り込まれ、2018年7月に公布、同年10月に施行された。まもなく3年が経とうとしていることから、「回復を応援し、受け入れる社会へ」を掲げて、シンボルマーク、SNS活用、依存啓発サポーターの任命など、理解を深める活動を行っている。