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【レポート】ワクチン接種率向上もパチンコ店における高齢者層の回復は途上

ハッピーロード大山商店街

業況浮上へ新型コロナワクチンの接種状況が一つのカギとされている。7月27日時点における日本国内のワクチン接種状況は2回目接種率21.82%、1回目接種率32.32%とまだまだ途上である。パチンコ業界において重要とされる65歳以上に限れば2回目接種率69.99%、1回目接種率84.95%となっており、ワクチンの供給不足が報道されるなかで高齢者接種については概ね希望者に行き届いているものと思われる。

既にワクチン接種率の高い地域においては高齢者層がパチンコホールに戻り始めているという意見もあり、コロナ禍で落ち込んだ客足の回復に期待がかかっている。編集部では東京都内でも比較的ワクチン接種状況が良く、高齢者主体の市場となっていた板橋区の大山駅周辺店舗において27日火曜午後に稼働調査を実施した。

なお板橋区のワクチン接種状況は区のHPによると25日時点で高齢者の2回目接種率70.59%、1回目接種率83.25%で同日の全国平均、東京都平均に対して2回目接種率は約5ポイント程度先行していた。ただし23区の接種率はばらつきも多く、26日時点で75%を超えている区も複数あるなど板橋区が突出しているわけではない。

駅周辺店舗については「安田屋グループ」のお膝元ではあるが駅の高架化や駅南のハッピーロード大山商店街における再開発の影響によって昨年に『やすだ大山1号店』、『やすだ大山2号店』が閉店し、3店舗が駅北側で営業している。閉店跡地については現在は2023年夏開業予定の「大山町クロスポイント周辺再開発ビル」の工事が行われている。

マルハン大山店

各店舗の稼働状況だが、調査日は「7」の付く日となっていた影響から『マルハン大山店』が恩恵を受けている。ただし客付きの大半は通常貸パチスロコーナーであり、客層も「ジャグラー」コーナーに若干の高齢者がいる程度でほぼ若年層となっていた。パチンココーナーも一部主力機を除いて空席が目立ち、高齢者層が多いのは低貸パチンココーナーのみだった。『楽園 大山店』も同様に高齢者層はそれほど見かけず、若年層が中心。

機種別の稼働についても「P牙狼月虹ノ旅人」こそどの店舗でも満席だが通常貸の「海物語」シリーズはほとんど客がついていない。まだまだ導入されたばかりの「スーパー海物語 IN 沖縄5」も『楽園』に18台が導入されているが遊技していたのは数人だけだった。

やすだ大山駅前店

一方で駅北側の『やすだ』各店舗は客層の大半を高齢者が占めていた。特に低貸パチンコ専門店である『4号店』は「海物語」シリーズを中心に68.6%の客付きを記録している。また『駅前店』も客数こそ少ないがグループで来店しているらしい高齢者も見かけ、のんびりとした雰囲気であった。同じく駅北側の『オーシャン』2店舗の客層は若年層中心だが高齢者層の姿も多い。『マルハン』や『楽園』で高齢者層をあまり見かけなかった原因として、再開発により商店街の奥にある『やすだ』2店舗が閉店したことで高齢者層の動線が駅北側に大きく傾き、商店街側を訪れる高齢者層のパチンコユーザーが減少した可能性がある。

なおいずれの店舗も感染防止対策に大きな違いはなく消毒液の設置程度の簡単なものが主流である。開催中の五輪についても『楽園』の中央モニタのうち1枚で中継こそされていたが遊技しながらや休憩しながら観戦できるものではなかった。

そのような中で高齢者層が『やすだ』に集中している理由についてはこれまでの地域重視の営業が実を結んでいると考えられる。談笑しながら遊技している高齢者の姿も多く、ワクチンの接種完了によって日常の一環を既に取り戻しているような印象だ。ただし単純な市場の客数としては『やすだ』の2店舗閉店をカバーすることは出来ていないだろう。ワクチンの接種率向上によって来店しやすい環境は整いつつあるが緊急事態宣言や世間の雰囲気など躊躇する原因も多い。

ワクチンの接種状況をただ見つめるだけでなく、日常を取り戻すための施策が必要になってくる段階だが、先あたっては店舗への信頼が重視されている。


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