9月上旬の「S うしおととら 雷槍一閃」導入を皮切りにパチスロ6.2号機が順次市場に投入されている。
現在導入済みの6.2号機は同機と「マジカルハロウィン Trick or Treat!」の2機種のみだが、11月導入の「パチスロANEMONE 交響詩篇エウレカセブン HI-EVOLUTION」や「パチスロ戦国乙女 暁の関ヶ原-DARKNESS-」などが控え、6.2号機が今後の新機種の主流となってくる。本稿では6.2号機がある程度まとまって導入されている東京都内の店舗の稼働状況を見つつ、実際の店舗での試打等も踏まえた所感をまとめている。なお稼働調査は10月1日金曜夕方と翌土曜の夕方に実施。1日は台風の影響から都内は大雨となっており、雨の上がった17時頃から調査を開始したが普段と比べて遊技客は非常に少ない状態だった。
はじめに6.2号機について簡単にまとめておくと、現在6号機の稼働低調を招いている一因である有利区間の制限がこれまでの1500Gから3000Gに緩和されている。緩和によるユーザー側への悪影響は基本的になく、これまで低純増タイプで発生していた深いゲーム数での当選からでは最大2400枚を獲得出来るだけの有利区間が足りないという状況が発生しづらくなっている。
また、ゲーム性についても有利区間の長さを利用して突破型CZに回数天井を設け易くなるといった発展性にも期待が持てる。しかしながら有利区間の増加に伴い、いわゆる天井機能や区間リセットの深化、複雑化とユーザーに投資をさらに強いるつくりも可能となっている。今後登場するメダルレス機では有利区間制限自体を撤廃する予定もあり、6.2号機も結局は一時しのぎでホールの期待度はそれほど高くないだろう。
まず2機種の設置状況をみると、「うしおととら」は全国で約5000台、「マジハロToT」は約8200台程度の導入が確認できる。6.2号機という新内規への期待度の低さかとも思われるが、他6号機やシリーズ機と同程度の導入数だ。特に「マジハロ」は「5」以降は導入数が落ち込んでいたが「ToT」で再び「5」並の台数が導入されており、台数による割引も大きいが後継機として期待はされている。ただし9月末時点で「マジハロ5」は約3000件で4654台の設置が確認できる。「ToT」が導入された9月下旬以降の減台は全国で約50台程度と大半の店舗は旧機種を残したまま「ToT」を導入している。
稼働調査を行った店舗では「5」が既に撤去済みで新たに「ToT」を入れたにもかかわらずほぼ客付きなしという場合も多かったが、シリーズファンは旧機種を設置していた店舗に固定されており、新規ユーザーがほとんど付いていないものと考えられる。特に「ToT」のゲーム性や演出は「5」の踏襲や流用が目立つ為、高設定に確実な期待が持てる状況以外では新たにユーザーが触れる状況ではない。「5」と「ToT」の両機種が設置されていてやっと、固定ファンのユーザーによってより高設定らしい台が動いている。その点、「うしおととら」はパチスロでは新規タイトルかつ一撃性がやや高めと新台として扱われている間はそれなりに動くだろう。「マジハロ」も前評判通りに旧機種の撤去後ならば稼働するだろうつくりであり、両機種を比べることはできない。
肝心の有利区間緩和については現状の6.2号機ではほとんど無関係である。「うしおととら」はAT純増約2.7枚で天井は約700Gの為、最深部から完走する場合のみ恩恵を受けられる。それ以外の打感は既存の6号機と同様の為、新内規機をアピールしてもユーザーはむしろ変化の無さを感じ取るだろう。
「マジハロToT」はART自体は低純増の為、よりマイルドなスペックとするために6.2号機の仕様と噛み合っている。また枚数調整によって完走確定後に実ボーナスを引きやすくする延命打法といった仕様を逆手に取ったユーザーの工夫も出ている。ただこれもゲーム性を大きく向上させるものではない。「5」なら考える必要のない部分が増え、面倒になったともとれる。
承知済みのことではあるが6号機最大の問題は2400枚リミットと型式試験における短中期出玉の制限である。ホールもユーザーもこの問題を既に理解しており、これらが緩和されないことにはパチスロ自体への期待感は戻らない。ゲーム性の発展でそれらを覆すことが出来る可能性はあるだろうが、規制緩和よりも難しいだろうということがこれまでの6号機を打った感想だ。パチスロは既に営業形態の根本から見直さねばならない時期にきている。
原作/藤田和日郎「うしおととら」(小学館刊)
©藤田和日郎・小学館/「うしおととら」製作委員会