このアイデアを思いついたとき発案者は天にも昇る思いだった。自分の素晴らしいアイデアに酔いしれていた。
「スーパーにすれば、パチンコ店の一部が売り場にもなる。スーパーにしてもメリットがある。ホールは安くいいものを提供できる」と胸を張った。
アイデアの中身はこうだ。
パチンコホールの店内に55インチの大型液晶タッチモニターを設置。ここに近隣のスーパーのチラシを流し、それを見た客はパチンコが終わって近隣の店に流れる、というのが謳い文句だった。
最近は新聞の購読数が落ちているので、チラシのまき方としてポスティングが凄い。自宅にも様々なチラシが毎日のように投函されている。ポスティングチラシの中には、さすがにスーパーのチラシはない。で、スーパーのチラシを見る機会のない人を対象にパチンコ店で情報を流す。
発案者は「人が集まるホールを情報の発信基地にする」と意気込んだ。
将来的にはタッチパネルから商品を注文して、それをホールに届けてもらい、ホールに来たお客さんがパチンコを打ち終わったら、自宅に持って帰るところまで描いていた。
スーパーチラシの掲載料は、月額3万円を設定していた。
発案者は企画書を持って近隣のスーパー周りを始めた。
反応はどこもすこぶる悪かった。心が折れそうになりながらも周り続けたが、この一言で折れかかっていた心がついに折れた。
「うちは社員にパチンコ禁止令を出しているぐらいです。以前、社員同士でパチンコ代の貸し借りがあってトラブルになったことがあるので、それ以降、社員にはパチンコ禁止令を出しています」
パチンコ業界を見る目がこれほど厳しいとは思ってもみなかった。借金トラブルとは想定外だった。
一般社会から業界を見る目が厳しい、という話で思い当たる節がある。
以前、東急ハンズの景品コーナーを作ろうとしたパチンコホールがあった。
全国的に知名度があるホール企業だったが、パチンコ店の景品として扱われることに、会社のブランドイメージが損なわれるのを嫌ってやんわりと断った。他業界からパチンコ業界を見る目は、より一層厳しくなっていることを認識させられる。
東急ハンズが売却される時、そのホールは入札に参加していたようだ。そのブランド力を欲しがっていたことが伺われるが、業界からはもう1社が参加していた模様だ。落札したのは大手ホームセンターのカインズだった。
いつもにまして登場人物が間抜けというか短慮というか
・そもそもパチンコ打つ層とスーパー利用者って客層被ってるのか
・ポスティングはなくてもネットチラシなどは個人経営でもない限り一般的
・新聞購読してない若手層はその気になればスーパーの会員になってSNSでいくらでも情報取得は可能、それができないような老人層は新聞取ってる可能性がそれなりに高い
・タッチパネルの設置や維持管理、品物の輸送費や人件費、保管費はだれが負担するのか
アホな俺がちょっと考えてもこのくらいは突っ込めるんだが、どの辺が天にも昇るような名案なんだ?
考え甘すぎ、東京五輪のマルハン考えてみ。
貴方達が何をしてどんなやり方で金を巻き上げているか。社会の一部にはなれないよ。