パチンコ・チェーンストア協会(PCSA)は21日、東京都千代田区九段北のアルカディア市ケ谷において、第14期第1回臨時社員総会および第53回PCSA経営勉強会を開催した。臨時社員総会では第2号報告議案として「PCSA声明」を報告。勉強会は公開形式にして「今、射幸性について考える」と題したパネルディスカッションを行った。
社員総会の冒頭で挨拶に立った金本朝樹代表理事は、任期中に山積した課題を解決したいとの意気込みを表明。IR法案の審議が先送りとなったことについては「個人的には非常に残念。IR法案の審議ではかならずこのパチンコ業界も比較され、不透明な換金制度や3店方式などパチンコ業界の抱える問題が明らかになる。業界の透明性を高め国内での株式上場を可能にする大きな節目であり、審議に合わせて業界も解決に向け動けるはず」との認識を示した。
議案審議では、第1号審議議案でハイライツ・エンタテインメントの賛助会員としての入会を承認可決。第2号報告議案では「PCSA声明」が報告された。この「声明」では、全日遊連による「新基準」に該当しない遊技機の設置比率を段階的に下げるという方針は「楽観的すぎる」と否定。高射幸性の遊技機そのものを市場から排除し、時間消費型娯楽、遊べるパチンコへの変革こそが業界が目指すべき方向であると呼びかけた。
第3号報告議案では、正会員からのアンケート結果を元に毎年、業界規模を推計する「PCSA DATA BASE 2015」を報告。パチンコホールの売上高を22兆4512億円、雇用人数を25万7478人、法人税納税額1012億円との数値を示した。
経営勉強会のパネルディスカッションには、日工組技術担当理事の渡辺圭市氏、ユニバーサルエンターテインメント執行役員マーケット戦略室室長の長谷川崇彦氏、フリーライターのPOKKA吉田氏、PCSA法律分野アドバイザーの三堀清弁護士、PCSA副代表理事の大石明徳氏の5氏がパネラーとして参加。エンタテインメントビジネス総合研究所代表取締役社長の藤田宏氏がコーディネーターを務めた。
射幸性については、交換率や機種に幅があった昔に比べて今のユーザーには選択権が無くなっていると各氏が指摘。POKKA吉田氏は、「一般論で言えば“出玉性能”に集約されるのだろうが、私が思う射幸性とは“ラクして儲けられる現場”であるか否か。ラクして儲けられているのであれば射幸性は高い。だが今のホールは逆で、客からみれば射幸性は低いのではないか」と独自の視点を提示した。
渡辺理事は、「パチンコではゲーム性が成熟し、これ以上発達できなくなった時に射幸性を求めてきた。だが今の第1種ではそれも限界。『射幸性が高い』と言われているのであれば、違うゲーム性でやらざるを得ない」と述べた。また同氏は「遊技くぎ」問題について、「今までファジーだったものが、あまりにもひどくなったので指導された。市場の釘で保通協に持ち込む体勢を作っていかなくてはならない。日工組でも文書で数字を出していく。ゲージ、設計値を見直し、なるべく早く安心して使えるものを出せるよう準備している。日工組(加盟メーカー)が発売する機械に関しては、11月から販売されるものは安心して使えるものと考えている」と、組合としての方針と見通しを説明した。
業界が採るべき今後の対応についてPOKKA吉田氏は、「業界には変わることが求められている。そのために業界全体での議論を活性化させる必要がある」と総括。健全なマーケットとしていくために「ホールは機種選定の前にメーカーに対してすべての情報開示を求める必要がある」と述べ、販売や購入の過程における現状の問題点を改めて指摘した。
[2015年8月27日・日刊遊技情報]