「旅パチ」企画はたんなる思いつきからはじまった
ある日の編集会議。「情報島」をより多くにひとたちに閲覧してもらうにはどうすればよいのか。おもしろいアイディアもなく、会議中なのに眠くなっていくばかり。
「ところで、きみ。旅行が好きなんだって?」
編集長もさすがに疲れていたのかもしれません。いきなり話題をかえてきました。
「ええ、まあ……」
と編集部員(わたしのことです)。
「これまでどんなところへ行ってきたんだ?」
「国内はあちこち、海外もちょこちょこ……バイクで北海道にも行きましたよ」
「それだ!」
「なんですか?」
よくわからない展開になかなかついていけません。
「日本全国のパチンコ店をめぐる旅! どうだ、おもしろいだろ?」
「はあ……」
「コロナ禍が収束すれば、また旅行熱が盛りあがる。それに先駆けて全国のパチンコ店を紹介するんだ!」
眠気を吹き飛ばすような編集長の勢いにますますわけがわかりません。
「でも……パチンコやパチスロのユーザーって、旅先で遊技なんかするんですかね?」
「だからこそ情報島で新しい提案をするんだよ」
「はあ……」
「新コンテンツのタイトルは『旅パチ』だ! あすからでもどこかへ行ってこい!」
といったわけで最初の行先を決めることになりました。旅をするなら観光名所があって、おいしい名物料理なんかも食べたい。もちろん、パチンコ店がなければただの旅行になってしまいます。なおかつ、パチンコやパチスロと少しでも関係があるところ。パチンコ発祥地の名古屋市? それともメーカーの工場がいくつもあった群馬県の桐生市? いやいや。新企画の第1回目にとってもっとふさわしい場所がほかにもあるはずだ。パチンコ・パチスロのユーザーたちにもちゃんと共感してほしい。ならばやっぱり〝ギャンブル運〟でしょ。新規則機になって大きく儲けることができなくなっても勝てればうれしい。
さっそくギャンブル運や金運にご利益があるスポットを調べてみました。いくつもあります。そのひとつが金運三大神社と評される山梨県富士吉田市の「新屋山(あらややま)神社」。富士山麓に鎮座する神社です。日本一の霊峰とギャンブル運の組みあわせ。「旅パチ」の第1回目はもうこの場所をおいてほかにありません。
「じゃ、行ってきます!」
編集長の発案にうかうかとのせられてはりきってみたのはいいけれど、地方と大都市では交通事情が違います。地下鉄はないし、市営バスの本数もあまりない。
「レンタカーがあるじゃないか!」
そんなこと、編集長からあえて教えてもらわなくてもわかります。ただ、肝心の普通自動車免許がないのです。さあ、どうする?
「移動手段ぐらい、自分の頭で考えろ!」
頭ではなく、ここはネット検索。みつけました。同じレンタルでもバイクです。これならイケる!
いざ、富士山麓へ
東京駅から富士吉田市のメインステーションまでの所要時間は2時間とちょっと。駅の名は「富士山駅」。これだけでなんとなくご利益がえられそうですが、今回はその少し手前の十日市場駅で下車。しばらく歩くとそこにバイク屋さんがあってレンタルも可能です。借りるバイクはホンダの「CT125・ハンターカブ」にしました。
バイク好きの方々ならばご存じのとおり、アメリカなどで人気があった「CT110」をバージョンアップしたモデル。日本では昨年の6月に販売開始となったまだ新しい車両です。ネーミングの「ハンター」とはもちろん「狩猟者」を意味します。アメリカ人はこのバイクにまたがり、狩りに出かける。本格的なオフロードモデルではないけれど、荒野の悪路もなんのその。基本的なデザインやエンジンの形式はホンダが世界に誇るスーパーカブとほとんど同じです。
ただ、ふだんは股ぐらにガソリンタンクをはさんで走っているライダーとしてはやや不安。ライディングの基本であるニーグリップができません。郵便や新聞を配達してくださっているみなさん、毎日ご苦労さまです。これが「ハンターカブ」にのって感じた第一印象。それでも50CCとは違って力強い走りをしてくれます。何せ、「十日市場駅」あたりから新屋山神社まではずっと上り坂なのです。長崎市の坂道ほど急な勾配ではないものの、だらだらとつづく坂道もけっこうきつい。借りたバイクが125CCでよかった。なんだかんだと幸先のいいスタート気が切れました。
迫りくる巨大な富士山
葛飾北斎が描いた「富嶽百景」を引きあいにだすまでもなく、富士山が拝めるビュースポットはあちこちにありますが、富士吉田市の北側から富士山へむかっていく道路からの風景は格別です。走るほどに富士山の巨大な姿にどんどん近づいていく。旅の当日はとても天気に恵まれ、頂上まですっかりみえました。しかし、この天気のよさがのちにアダになろうとは……。
ま、それはさておき、少々道に迷いながらも目的地の新屋山神社へ無事、到着。太い杉の林にかこまれた静かな一帯です。大都会にあるコンクリート製の神社とは違って清浄な空気があたりに漂っているように感じます。この雰囲気だけでもなんとなくありがたい。
正面の大きな鳥居をはじめ、いくつもの鳥居をくぐって本殿へ。こちらの参拝方式は二拝、二拍手、一拝です。主祭神は大山祇命(おおやまつみこ)。1534年の創建ですから室町時代の後期にあたります。実は、織田信長が生まれた年なのだそうです。まるで群雄割拠の足音が聞こえくるような気がします。
そもそも「ギャンブル運」とはなんだ?
世俗まみれの愚者がお参りさせていただいた大山祇命は本来、山の神さまです。主なご利益は農業、林業、鉱山業、ならびに商業の守護。さらに商売繁盛や試験合格、家庭平安に安産、厄除けなどなど……。日本有数のコンサルティング企業とされる船井総合研究所の創業者・船井幸雄氏も「お金に困ったらこの神社を訪れろ!」と言ったとか。でもでも……いったいギャンブル運はどこへ?
そうなのです。ギャンブルでお手軽に金儲け。世のなかそんなに甘くはありません。広く解釈すれば、農業や商売もうまくいくかどうかは時の運。「人生こそギャンブルそのもの!」とのたまうひとたちも少なくないはず。ギャンブル運を成就させる参拝は、勝負にかける思いを神さまに表明する機会なのかもしれません。「わたくしの一世一代の挑戦にどうかお力添えを」と願いながらも努力だけは惜しまない。
とはいえ、神さまにちょっとでもお力添えがいただけるようならば、そうしたお力添えをできるだけ多く祈って願いをかなえたい。幸いにも新屋山神社には「奥宮」と呼ばれる別院がある。いまお参りをすませた社殿は本宮です。せっかくここまで来た以上、「奥宮」にも行って祈るべき。ハンターカブにまたがり、あらためて出発! (後編へつづく)
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