もっと走れ! ハンターカブ!
前編でご紹介しました新屋山神社「本宮」から「奥宮」までの距離は14㎞ほどあります。高低差は800m。富士山の2合目にあたります。道路の左右は鬱蒼とした樹海になっていました。路面を彩る木漏れ日、というより「木の葉の影が敷き詰められている」といった表現のほうが雰囲気を正確に伝えられるかもしれません。
相棒のハンターカブはエンジンをうならせながらも順調に走り、標高をあげるにつれて空気が冷たくなっていきます。全身に冷涼な風を受けつつ、くねくねとうねるカーブを曲がる爽快感はやはりバイクならでは。こればかりは実際にいっしょに走ってみないと伝わらないのだろうなあ。ヘルメットのシールドにときどきあたってくる虫などおかまいなしにスロットルをひねり、ひび割れた路面のゴツゴツとした感触を楽しむ。いいぞ、ハンターカブ。もっと走れ! でも……。
「ひとつもパチンコ店に立ちよらず、こんなことばかりやっていていいのだろうか?」
ふと本来の目的が頭をよぎるなか、「いいのだ、いいのだ。これでいいのだ!」と自分自身に言い聞かせ、さらに坂道を登っていきます。
それにしても新屋山神社の「奥宮」をさし示す標識がまったくみあたりません。走ることすでに30分。この道はいったいどこへつづいているのだろう。ちょっと不安になったところで路肩に停止。スマホで位置をたしかめました。
「あらら……」
すっかり行きすぎてしまったみたいです。バイクを反転させ、来た道をしばらく戻るとあった、あった、ありました。道路の左側に車が何台か停まっています。
つい数分まえもみたはずなのに、どうやらバイクの運転が楽しくて目に入らなかったのかもしれません。駐車場にハンターカブを停め、エンジンを切る。すると一気に静寂が。さすがは富士山の2合目です。富士吉田市内のような喧騒はなく、聞こえてくるのは鳥の鳴き声と風が木の葉を揺らす音。小さな駐車場の反対側にこれまた小さな社殿の屋根がみえました。
ひっそりとした場所に建つ「奥宮」
社殿は道路から一段低い位置に建てられているようです。さっそくバイクからはなれて登山道のような坂道を徒歩でくだります。目立たないけれど「新屋山神社 奥宮」と書かれた標識もちゃんとありました。
自家用車やバイクをもたないひとたちは、「奥宮」を参拝するために歩きか自転車、またはタクシーをつかわなくてはなりません。料金はおよそ片道5000円。わざわざそこまでして参拝に来るのかよ……。と思いはしたものの、いるんですね。そういう信心深いひとたちが。お年よりを含めた家族らしき4人がタクシーからおりてきました。ツーリングがてらお気軽に「奥宮」まで走ってきたわが身が恥ずかしい……。
ちなみにレンタルバイクの料金は1日借りても5000円ほど。神さまは移動手段にかかる費用も鑑みて参拝者の願いを叶えてやるかどうか判断するのだろうか。それはそれでこまります。
だって、今回のお参りは「情報島」をみてくださる方々のためでもあるんです。みなさんのギャンブル運を高め、パチンコやパチスロを思いきり楽しんでもらいたい。差別されてはこまります。
「ならば、お賽銭箱に諭吉を入れろ!」
どこからか聞こえてきたこんな声をふり払い、鳥居のまえでまずは一礼。くぐり抜けるまでもなく社殿はすでにみえています。「本宮」とは違ってエレベーターぐらいの小ぢんまりとした社殿です。
参拝方式はここでも二拝、二拍手、二拝。ギャンブル運のみならず、コロナ禍の収束やみなさんの健康、個人的な金運のほか、今回の旅を無事に終えて自宅へ帰れますように……などなど祈る。
ちょっと欲ばりすぎましたかね。せっかくのお力添えが細かく分散してしまったかもしれません。
次回はやるぞ! ご当地「うどん」ツアー
霊験あらたかな神社への参拝でちょっと緊張させられたせいか、ずいぶんお腹が減りました。お昼のメニューは東京を発つまえから決めていた「吉田うどん」。もちろんご当地の名物です。失礼ながらB級グルメとして知られています。
お店はとくに選ばず、最初に目に入ってきたところでハンターカブを停止させ、注文も迷うことなく「うどん」です。
でも、正直に言えば、「温」か「冷」かで少しだけ迷いました。山のなかはひんやりして涼しいけれど、富士宮市までおりてくると陽射しがつよく、気温も高い。そこで「温」ではなく、「肉つけうどん」を注文。温かい汁に冷やされた麺をつけて食します。
「吉田うどん」に共通する特徴は、味噌仕立ての汁にやや太めの麺です。のどごしで味わう「讃岐うどん」よりも麺に歯ごたえがあり、もっちりとしています。どちらかと言えば甲州名物の「ほうとう」に食感が近いかも。いわば「ほうとう」の細切りです。小麦粉好きにはたまらない風味と食べ応え。
具はゆでたキャベツの乱切りと同じく湯がいたうすい肉。お店のひとの話によれば、「吉田うどん」の具は馬肉が主流のようですが、こちらのお店では牛肉がつかわれ、豚肉を具にするお店もあるとか。味噌の濃さもいいぐあい。お腹の空きかたによっては何軒かのお店で食べくらべる「うどん」ツアーも楽しそうです。
最後はやっぱり5合目へ
さて、お腹も満たされたことですし、そろそろ本来の目的に移ろうか。富士吉田市には7軒のパチンコ店があり、そのうち6軒が山梨県内の企業が経営しています。他県ではたいていどこに行ってもみかける大手企業のグループ店は『やすみ時間 富士吉田店』(ダイナムグループ)だけ。「○ハン」や「キ○ーナ」、「ガ○ア」に何か不満があるわけではないけれど、せっかく地方まで来たのだから地元企業のパチンコ店をみてみたい。
ハンターカブのエンジンを再始動させ、市内のパチンコ店にむかいながらもこころ残りがひとつ……。
「富士山はどうする?」
さっきは2合目まで行きました。市内からみあげる富士山も十分に美しい。でも、せっかくの機会です。せめて5合目から下界のようすを眺めたい。
うれしいことに空は快晴。こりゃ、登るしかないでしょう。ここぞとばかりに決断は早く、ライダーの意思がのり移ったハンターカブは富士スバルラインの入口へ。寒さに備えてジャケットを着こみ、ギアをどんどんあげていく。
平日とあってスバルラインはかなり空いていました。それでも1合目では感染症対策の検温をうけなければなりません。平熱であることを確認してもらい、約1時間かけて5合目に到着。残念ながら山頂は雲にかくされてしまいましたが、3合目の展望台から富士吉田市の全貌を眺めることができました。
旅のエピローグ
このあとどうにか7軒のパチンコ店をすべてまわり、旅の1日につきあってくれたハンターカブともお別れ。富士スバルラインで着ていたジャケットを市内の暑さに負けて脱ぎ、そのまま走っていたら、半袖の端からグローブまでのまでのあいだが見事に日焼け。どうでもいい話ですが、こうした日焼けの仕方を「ライダー焼け」と言います。旅のいい思い出になりました。
↓↓↓↓↓↓↓「富士吉田市」<後編>動画もご覧ください↓↓↓↓↓↓↓
「富士吉田市」パチンコ店一覧
『AMUSEMENTPARK AKASAKA 』
所在地 山梨県富士吉田市新倉2681-1
店舗ホームページ https://www.p-world.co.jp/yamanashi/akasaka.htm&
『AMUSEMENTSPACE WONDER 』
所在地 山梨県富士吉田市下吉田9-30-5
店舗ホームページ https://www.p-world.co.jp/yamanashi/wonder.htm
『DAIMARU富士吉田店 』
所在地 山梨県富士吉田市下吉田9-30-5
店舗ホームページ https://www.p-world.co.jp/yamanashi/daimarufujiyoshida.htm
画像を撮り忘れました。スミマセン……。
『No.1富士吉田店 』
所在地 山梨県富士吉田市松山字熊穴1595
店舗ホームページ https://www.p-world.co.jp/yamanashi/no1-fujiyoshida.htm
『やすみ時間 富士吉田店 』
所在地 山梨県富士吉田市松山1218番地
店舗ホームページ https://www.p-world.co.jp/yamanashi/yasumijikanyosidaten.htm