ご覧になった皆さんも居ると思いますが、以前にNHK『ドキュメント72時間』というテレビ番組にて「ゲームセンタータンポポ」が取り上げられました。その時のタイトルが「青春のパチンコに会いたくて」というものです。
舞台はこのコラムでも何回か取り上げましたが、東京都福生市の「ゲームセンタータンポポ」です。あらためて同店を紹介しますね。こちらは2020年まで普通のパチンコ店「タンポポ」として営業していました。その後、オーナーでありYouTuberとしても活躍されている「ひげ紳士さん」が同店をレトロ台を使ったゲームセンターとしてリスタートしていたのです。
同店では「入場料システム」を採用しており、1時間1千円、3時間以上だと3千円となります。台数はパチンコとパチスロを合わせて約90台あり、玉やメダルは使い放題。ただし大当りして獲得した玉やメダルを景品に交換することは出来ません(計数機に流したレシートを記念に持ち帰ることはできます)。
毎週火曜日と水曜日が定休日になっていますが、1日あたりの来店数は約40人ほどだったと聞いています。
今回の取材について色々とお話を聞いてみると、どうやらNHKの方から同店に依頼があったそうです。1カ月前ぐらいには取材日も決まっていたとか。実際の放送では数人の顧客がインタビューに答えていましたが、100名以上のお客様が取材されたようです。
ここでは番組の内容についてあえて申し上げないようにします。おそらく検索などでアーカイブは残っていることでしょう。放送から現状で約1カ月が経過しました。放送後、店内はどうなったのでしょうか。私も久々に『タンポポ』へ打ちに行ってきました。
「ひげ紳士さん」らにお話を伺うと、やはりTV放送の効果は大きかったそうです。客数も売り上げも倍近くまで上がったとのことでした。連チャン機の名機『ダービー物語』(平和)を打ちながら、私も店内の様子を眺めていましたが、お客様の数は明らかに増えていましたね。
平日の午前中にも関わらず、今までの休日のような雰囲気でした。アナログな視点になってしまいますが、あまり見覚えのないお客さんが以前よりも多く来店されていたのは間違いありません。また、連日新規のお客さんがいらっしゃるようで、店員さんからルールなどの説明を受けているシーンも目撃しました。女性の方がお1人で来られていたケースもありました。
ちなみに「ひげ紳士さん」やスタッフの「はざまさん」には、全国各地にこの『タンポポ』のようなお店を出したいという考えがあるようです。私もその考えに賛同できます。
業界では「スマスロ」が登場し、次第に「スマート遊技機」の流れへと加速していくことが予想されます。でも本当にそれだけで良いのでしょうか。厳密な遊技ではないかもしれませんが、古き良きパチンコ文化を(例え「パチンコ屋さんごっこ」に見えたとしても)残すことで顧客接点のある風景や行動や経験を忘れてはいけないと思います。
また、これらを風化させずに後世に伝えていかなければならないでしょう。さらにいえば、この厳しいパチンコパチスロの時代にファンを増やすチャンスなのかもしれません。
同番組は、おそらく検索するとアーカイブとして残っているはずです。まだ観たことのない皆さんは、『タンポポ』に来る方々がどんな思いでレトロ台を打っているのかをぜひ観てほしいと思います。
■プロフィール
拝 二刀(おがみ にとう)
パチンコ歴20年以上のホール従業員。最近は財布事情も厳しく、公休日のパチンコは低貸パチンコのみ。条件が良ければ高速道路を使って片道1時間のホールまで打ちに行くマスクを被った変わり者。さらに、最近オープンした「ゲームセンタータンポポ」に足繁く通っている。
パチンコの文化的側面を捨てて規則改正に持っていくのは惜しいことをしましたね。その昔、イギリスのコリントゲーム博物館に、日本のパチンコを寄贈したことがありましたが、あろうことかゲーム性に優れた当時の羽根モノではなく、最新デジパチを差し出してしまったんですよね。業界の人間は本当に何も考えられないのでしょう。残念なことです。
ゲームセンター形式でやっていけるって事は、それだけ昔の台が魅力的で楽しかったんじゃないかな?
今の画面だけ見てるパチンコよりも玉の動きやV入賞、スロットも連チャンする機械ですら今のATよりも控えめ。
パチンコが遊技で有ることを忘れた業界への戒め的にタンポポには頑張ってもらいたい。