新台導入状況、機種構成から経営企業ごとに考察を行っていく【パチンコ経営企業分析】。今回対象とするのは、2023年6月期のパチンコ店舗別資産価値(※1)において、2番目に資産価値額が高かった『モナコパレス白山店』の運営母体である「岩下兄弟グループ(※2)」。
「岩下兄弟グループ」は主に「モナコパレス」の屋号で熊本県、宮崎県にて24店舗運営。1000台以上の巨艦店舗は3店舗あり、1店舗あたりの平均設置台数は695台と、大型店舗から小型店舗まで多岐に渡っている。
また、パチンコ・パチスロ別、貸玉別の設置構成を見ていくと、通常パチンコ:35.9%(平均33.3%)、低貸パチンコ:32.7%(平均28.0%)、通常パチスロ:27.8%(平均31.3%)、低貸パチスロ:3.7%(平均7.4%)と貸玉問わずパチンコの比率が若干高くなっている。
このようにパチンコにおいて低貸玉の比率が比較的高いにも関わらず、6月末集計時点において店舗別資産価値額が2番目に高かった『モナコパレス白山店』を筆頭にグループ全体の平均資産価値額が高い点が特徴的なグループである。
そんな同グループの2023年における資産価値額は下表の通りとなる。
パチンコ | パチスロ | |||
岩下 | 全体 | 岩下 | 全体 | |
1月 | 324,300 | 202,124 | 767,846 | 421,307 |
2月 | 294,358 | 182,630 | 735,248 | 419,814 |
3月 | 286,570 | 183,046 | 741,264 | 434,449 |
4月 | 240,583 | 153,280 | 756,264 | 465,101 |
5月 | 254,423 | 154,574 | 750,061 | 456,986 |
6月 | 264,134 | 163,440 | 691,114 | 430,675 |
このようにパチンコだけでなくパチスロも平均値を大幅に超えていた。
店舗別に見てもほとんどの店舗において平均値を上回っており、機種構成に対する高い意識が感じられた。
その一方で、新台(※3)の導入状況に関してはそこまでのインパクトはなく、2023年上半期における新台導入評価(※4)の推移は下表の通りとなる。
パチンコ | パチスロ | |||
S店舗 | A店舗 | S店舗 | A店舗 | |
1月 | 2 | 5 | 4 | 3 |
2月 | 3 | 4 | 3 | 1 |
3月 | 3 | 4 | 4 | 1 |
4月 | 2 | 4 | 4 | 2 |
5月 | 3 | 4 | 4 | 3 |
6月 | 3 | 4 | 4 | 4 |
このように全体の25~30%の店舗が上位2ランクに該当し、それ以外に店舗においては平均以上の「B」ランクのところが多かった。
店舗別に見ていくと、設置台数の多い旗艦店舗が上位2ランクに該当しており、メリハリをつけた戦略を行っていると言えよう。
グループの中で優先度を明確にし、それぞれの立ち位置に合わせて極端に新台に頼った戦略は行っていないものの、資産価値額に表れているように機種構成には注力しているグループであると言えよう。
※1:資産価値額
各機種における中古取引額の平均値を足していき、店舗の平均額を算出したもの
店舗における機種の価値を判断する指標となる
※2:閲覧有効期限 7/16まで
※3:新台は発売から4週以内に導入されたもののみとする
※4:新台導入評価
直近半年間における新台の導入台数・導入機種数・新台導入回転率・1機種当たりの最多台数をそれぞれ順位化し、その合計得点を元にS~Eの6段階で評価したもの
なお、S:全国500位以内、A:全国1000位以内、B:全国2500位以内となっている。