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不満も多く無難な出来だが優秀、業界が考えていた以上にコンテンツが強い 「e Re:ゼロから始める異世界生活 season2」実践

「e Re:ゼロから始める異世界生活 season2」
©長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活製作委員会
©DAITO GIKEN,INC.

パチンコ「Re:ゼロから始める異世界生活」シリーズの最新作で、初のスマパチでの登場。ラッシュ突入率は55%。ラッシュ突入時は必ず3000個+アルファからスタートし、「強欲フリーズ」発生で+1500個が上乗せとなる。

実践を行った店舗は導入4日目で4台の設置。近隣店舗の最大設置は1列、12台前後と前作「鬼がかりver」の設置台数に対して不足気味の導入規模であり、導入から数日は駅前店舗に空席が見当たらない状態が続いていた。しかし調査日は祝日明けの影響もあってか入店時には1店舗が空いており、実践中の約3時間においても4台で5人の入れ替わりが発生。1000円あたりのスタートは約14回と辛めで、初当りまで追わずに退席するユーザーが半数程度出ていた。

スマパチ化にあたって前作を踏襲しつつスペックアップした部分については概ね違和感はないものの、初当りが遠くなったことに対してリターン部分をさほど実感できない程度の変化に留まるため、前作よりも扱いが良くなければリスクを上げる選択肢として見合わないと感じてしまうだろう。単純な1000円あたりのスタート数で見れば当然、前作よりも回らない印象となってしまうため、如何に前作とのスタート差を意識させずに両機種を運用するかが重要だ。

演出面はアニメ2期を中心とした内容への変化と、新筐体への変更に伴って液晶画面が大きくなった程度でスマパチという点で特に目新しいギミックやシステム、注目演出等もない。前作が人気を得た最大の理由である「先バレ」も踏襲し、複数のカスタムも搭載するなど演出面の強化は図られているがコンテンツファン以外への演出面での訴求力は特に見当たらない。実践時も周りのユーザーは8割方が「先バレ」カスタムで遊技しており、半数程度はスマホを見ながら「赤バレ」を待つスタイルだった。「先バレ」と3000発大当りによる出玉感という「脳汁ポイント」は前作同様のため良くも悪くも遊技感は前作に近い。

一方で演出面での問題点として、本機は左打ち時を普図で抽選しているために初当り時はRUSH突入確定のいわゆる「確確」が存在しないと言われている。そのため奇数図柄テンパイや前作の「白鯨」(当たれば3000発)といった展開がなく、「赤バレ」から「白鯨」発展といった「先バレ」内でのメリハリもない。「赤バレ」を引いても変動開始時点で明らかに弱い演出へ移行して期待を全く持てない展開があったり、最強演出等へ発展してもその後の初当りラウンド内での成否待ちと、初当り確率鈍化による「赤バレ」の遠さと仕様が抱える問題による「赤バレ」の期待度の低下が著しい。前作よりも「赤バレ」に気持ちよさがない、と感じればわざわざ回らない新台を打ち続けるユーザーも限られてくるはずだ。

筆者は前作をここ最近のパチンコ機としては「エヴァ」に次ぐ程度には打ち込んでいるが、本機についてはよほど扱いが良くない限りはリピートする気にはなれなかった。前作は調整がマイナスでもさほど気にせず予算内で「赤バレ」を2回引くか当るまで、といった他に打ちたい機械がない際に楽しく打てる選択肢として優秀だった、という理由があり、同程度の運用に落ち着くのであれば今後も前作を打つつもりである。裏を返せば前作より回るのならば本機でもいいため、店側が力を入れたい機械を推しやすいのはポジティブな部分である。

現状の稼働は非常に優秀であるとされているが、前作の貢献期間に対する導入数としては確実に不足していて、かつ客層も普段「Re:ゼロ」以外のパチンコはあまり打たないという層も多いように見える。特に本機の特徴である3000発+アルファ部分については本機のみではなく既存機種にも似た仕様が多数あり、スペックや上乗せ演出といった点でも新鮮味はない。出玉性能も同様で、本機が突出している部分はコンテンツにあると言わざるを得ない。パチスロ新機種の不振続きによる若年層の回遊と一時的な台数不足による特需であり、実際の機械評価以上に稼働している。

パチスロ、パチンコの両方で大ヒット機を出した数少ないコンテンツということになるが、業界が思っていたよりも「Re:ゼロ」というIPに人気があり、ユーザーの高齢化を嘆きつつも実はユーザーと店舗運営者の間の大きな世代間ギャップで読み違えていた部分も大きいのでは。もしかするとホールで一番人気のコンテンツは「Re:ゼロ」であって、じわじわと客を減らし続けるだけの定番コンテンツ乱発よりもパチンコにおける新規コンテンツをヒット機へ育てるような運用こそ今の業界には必要なのかも。


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