編集部が選ぶ本年の「10大ニュース」では例年、大項目をある程度絞り込んでいたのだが今回はコロナ禍に関連した出来事をホール・機械・行政と3項目に分けている。前年から続く諸問題や今後の課題等に対してもコロナ禍が引き起こした影響は甚大である。
第1位 コロナ禍に伴う営業自粛
~バッシング増えるも対策の徹底認知される
第2位 一部旧規則機の設置期限を延長
~コロナ禍に伴い緊急対応、決議違反の強硬ホールも
第3位 高射幸性パチスロがほぼ撤去完了
~旧規則機削減も進むが新規則機への移行は低調
第4位 「P大工の源さん 超韋駄天」大ヒット
~高継続×超高速で増産に次ぐ増産
第5位 「遊タイム機能」が新登場
~新たなゲーム性で話題、夕方以降の稼働減という短所も
第6位 健康増進法改正に伴う原則禁煙化
~加熱式たばこプレイエリア設置店舗が急増
第7位 新ホール団体「MIRAI」設立
~同友会とPCSAが合併
第8位 政府セーフティネット保証5号の対象業種に
第9位 サミーなどがECサイトでの販売を開始
第10位 パチスロ6.1号機登場も適合率改善せず
1位には春に出された緊急事態宣言に伴う営業自粛等一連のホール営業自体への影響を挙げている。
現在も感染拡大の第3波が発生しており、一部地域では陽性者が増加の一途をたどっている。春の大型連休前後には緊急事態宣言を受けてホールも全国的に自主的な休業を行ったものの、一部ホールの営業強行等により一般メディアからのバッシングも目立った。しかしながら大多数のホールが自粛に従い、営業再開後も感染症対策に投資を行った結果、クラスターを出さない比較的安全な娯楽として認知されつつある。
パチンコ・パチスロ、明暗くっきり
次点には機械関連への影響として一部旧規則機の設置期限延長を選んだ。
自粛明け後の混乱した時期かつ緊急対応となったことで改正法の期限と自主的な撤去日というズレが発生。その結果、示された撤去期限があくまでも自主規制であることを利用した設置継続強行や再導入といった問題もみられている。21世紀会が設置期限等を設定したことについて異を唱える地域・企業もあるが、そもそも一連の動きがなければ21年1月末には旧規則機をすべて撤去する必要があったということを忘れてはいけない。
一部旧規則機の設置期限は延長されたが、旧規則機の継続的な削減と高射幸性パチスロの撤去はコロナ禍の発生後も粛々と進行している。特に高射幸性パチスロは実質最後のメイン機種である「ミリオンゴッド 神々の凱旋」が全国的に撤去を迎え、これによって高射幸性パチスロはほぼゼロといっていい台数まで減少した。
しかしながら新規則機への移行はまだまだ進んでいない。パチスロにおいては適合率が本年も改善できず、そもそも新台が販売出来ない危機的状況である。新規則機の不振に伴うユーザーの減少も深刻であり、パチンコへの流入も目立つ。来年11月末に控える旧規則機の完全撤去すら見通しが立たない状況である。
一方でパチンコはコロナ禍による稼働低下の影響を受けながらも複数のヒット機が登場した。さらには内規緩和によって新たに「遊タイム機能」などが可能となりゲーム性の幅が広がっている。しかし本年最大のヒットを飛ばしたのは新機能搭載機ではなく、春に発売された「P大工の源さん 超韋駄天」であり、高継続率と突出した出玉速度が話題に。増産を重ねて旧規則機の主力機並の設置台数に成長した。
夏以降も遊タイム搭載機が大量に販売され、12月には「CR大海4」の後継機となる「P大海4SP」が発売されるなど旧機種機撤去後の機種構成も見えてきた段階。パチスロの不振を補うためにも規制がある程度緩いパチンコ側が来年についても市場を牽引していくのは間違いないだろう。
業界団体にも大きな動き
本年4月には健康増進法改正に伴いホールでも原則禁煙となったが、コロナ禍による営業自粛と絡み、禁煙の影響は未だ計り切れていない。禁煙化に伴い、加熱式たばこプレイエリアを導入した店舗も急増しているが、こちらもまたメリット、デメリットがはっきりしない状況だ。
また業況の落ち込む中でスクラップ&ビルドはまだまだ勢いを増している。コロナ禍に陥る以前からM&Aによる大型店舗取得が相次いでいたこともあり本年も話題の新店は決して少なくない。さらに来年については新店を出すうえで最大のネックとなっていた新旧規則機の混在という問題が解決される年であるだけに新規出店の増加に期待したい。
業界団体も本年は同友会とPCSAが合併し、大規模なホール団体となった。企業の統廃合によって多くの団体が会員数を減らす中で勢いを増しているだけに業界における勢力図の変化にも期待したいところである。
確実な変化訪れる1年
来年最大のトピックは新規則機への完全移行である。その為にも適合率の改善、規制緩和、管理遊技機やメダルレス機といった新要素による集客も必要なだけにメーカー側が結果を出さなければならない1年である。
一方で感染が拡大するコロナ禍という量りきれない影響も。収束するのか、新たな生活スタイルへと変化するのか。2020年がコロナ禍によって一変した1年であるならば2021年は機械も含めて業界が自ら変わる1年となる。