遊技業界における依存問題対策全般について第三者の視点から評価・提言を行うパチンコ・パチスロ産業依存対策有識者会議はこのほど、パチンコ・パチスロ産業21世紀会(21世紀会)からの諮問に対する答申をまとめた。
これは、21世紀会が作成した「2019年度パチンコ・パチスロ依存問題対策実施状況報告書」の内容をもとに業界の依存問題対策を再度まとめたもの。有識者会議では昨年4月の中間答申の最終答申と位置づけており、リカバリーサポート・ネットワーク(RSN)の相談体制の強化及び機能拡充、18歳未満立入禁止対応の徹底、自己申告・家族申告プログラムの普及と改善、営業所の銀行ATM及びデビットカードシステムの撤去等など12項目の業界の取組みについてそれぞれ評価・提言を行っている。
RSNに関しては、「ギャンブル等依存症対策基本法などの必要性が国会で議論されるはるか以前から、業界自らが主体的に設立支援し、その後の運営もサポートしてきたことは高く評価すべき取り組み」だとし、今後もRSNが安定的に相談事業を継続し、相談者のフォローと実態の把握に努められるよう、業界は支援を継続するよう提言。さらに、RSNの活動内容や相談者の実態の業界外への広報活動、将来的に各地の精神保健福祉センターや保健所などとの連携、新たにスタートした業界関係企業の社員の研修制度の周知についてさらなる取り組みを要望した。
また、今年3月に新たに規定した本人同意のない家族申告に基づく入店制限プログラムについては、「ギャンブル等を止めたい、あるいはもっと制御したいのに、自分の力だけではそれができなくて苦しんでいる人は少なくないはずである。全店で導入するようになれば、かなり有用なプログラムになることが期待できる。難しい対応を迫られた問題であるにもかかわらず、さまざまな顧客と事態を想定した仕組みを構築した姿勢は評価に値する」との見解を示しつつ、意見書を記述式ではなく、選択する記載方法にするなど運用しながらの改善を検討していってほしいとした。
パチンコ店における銀行ATM及びデビットカードシステムの撤去等については、「民間企業同士の契約であるということもあり、業界団体として撤去を指示・強制することまではできない」「法律的には、パチンコ店に銀行ATMやデビットカードシステムを設置することは制限されておらず、対応が難しいところであろう」としながも、パチンコ店内でお金が引き出せること自体が問題だとする世間の見方も考慮しながら考える必要があると指摘。そのうえで、これらのシステムにはのめり込み防止対策がさまざま施されている点、導入店舗数両システムを併せて2000店舗弱で、かつ減少傾向にある点などの実態をアピールした方がよいと提言した。