パチンコ・トラスティ・ボード(PTB)の有識者懇談会は24日、東京都中央区銀座のプレリー銀座ビルにおいて、リンクアソシエイツの経営コンサルタント・大川潤氏を講師に招き、「日本におけるカジノ解禁、過去・現在・未来。パチンコ産業はどうする?」と題した講演会を催した。PTB有識者懇談会委員、PTB評価委員会委員、PTBとPCSAの会員企業幹部および報道関係者ら約40人程度が参加した。
講演会で大川氏はまず、カジノ産業の変遷と現状を世界規模で解説。今後の見通しとして、「カジノ市場のシェアは2010年に49%が米国、29%がアジア太平洋であったが、2015年にアジア太平洋43%、米国40%と逆転するだろう」と、近年のアジアカジノ市場の急伸ぶりを紹介した。
次にテーマを日本国内の市場動向に移し、パチンコおよび公営競技の市場規模の減少を指摘した。この需要減の一因には顧客のニーズを満たしていないという背景があり、パチンコや公営競技にはない新しいエンターテインメントとしてカジノゲーミングを位置づけた。
今後の見通しについては、「今年の立法化は難しいが来年、再来年なら可能性がある。推進法ができれば2年以内に実施法が成立する。IR施設の開業は、オリンピックにギリギリ間に合うかどうか」との予想を立てた。
パチンコ業界への影響については、アメリカのシティバンク(Citibank)による推計レポートを紹介。2020年に東京、大阪、沖縄でカジノが開設され、市場規模を1兆5000億円と予測し、市場規模算出の根拠のひとつに、現在のパチンコファンの20%・約257万人がカジノに乗り換えることが組み込まれている。「IR法が推進されるかぎり、パチンコ業界には緩やかな締め付けが継続し、公営競技のように緩やかに衰退していくだろう」とし、パチンコが社会的に必要とされるため、例えばホールに電気・ハイブリッド自動車用の充電基地を設置する、または防災拠点基地とするなど、「プラスα」の社会貢献が求められていると示唆し、講義を締めくくった。
リンクアソシエイツの代表取締役社長を務める大川氏は、通産省職員、IGTジャパン社長などを経て、米国カジノ運営会社のシーザーズ・エンターテインメント社のアドバイザーに就任。日本の民間企業と共同でカジノ・エンターテインメント法制研究会(現・ゲーミング法制研究会)を設立し、佐世保市の特区申請のコンサルティングを行うなど、日本のカジノ実現に向けたアドバイス事業を活発化している。
[9月30日・日刊遊技情報]