まず、旧規則機の撤去についてです。
御案内のとおり、昨年5月に国家公安委員会規則を改正し、旧規則機の撤去に係る経過措置期間を1年延長しました。本年は、この撤去を着実に進める必要があります。
昨年の規則改正には経緯がありました。まず、業界内の事情として、新型コロナウイルス感染症の影響により、遊技機の部材調達が困難化するなど、新規則機への入替を予定通り進めることが困難となったこと、入替作業等に伴う感染拡大の防止を図る必要があったことがありました。他方で、社会一般の視点から、射幸性の抑制という命題が後退したと受け止められてはならないこと、また、撤去期限がそのまま後ろ倒しになり、経過措置期間満了間際になって撤去が集中する等の事態を避ける必要があることといった問題がありました。これらの問題の解決に向けて、業界団体の幹部の皆様と議論をし、最終的に、業界団体による旧規則機撤去の取組に対する信頼をベースに、入替を分散化して計画的に行うため、規則改正を行うこととしたものでした。
当時、緊急事態宣言の下、休業要請が出される中、一部のぱちんこ店がこの要請に応じないと、世間から大きな非難を浴びている時でもありました。団体幹部の方々は、その対応とともに、この問題の検討によく取り組まれたと思います。
業界では、こうした規則改正の趣旨を踏まえ、パチンコ・パチスロ産業21世紀会で決議をしました。それに基づき、計画的な撤去を推進していると承知しています。私どももよく状況をみていきたいと思います。引き続き、ぱちんこホール、遊技機メーカー、遊技機販売会社等が協力・団結し、旧規則機が計画的に着実に撤去されるようお願いします。
旧規則機の撤去を進めるに当たり、遊技機の廃棄方法も非常に重要となります。
かつて廃棄された遊技機が「野積み」等として社会問題化したことが思い出されます。また、ぱちんこ店で使われていた遊技機が「闇スロ」と呼ばれる賭博で用いられることもあります。こうした問題を繰り返さないことが求められます。
我が国全体で環境問題への取組が進展し、その関心も高まる中、かつてのようなことが起きた場合の業界のダメージは計り知れません。
既に九州の遊技業界においては撤去・回収を進めるための新たな取組が行われていると伺っています。遊技機の適正な管理・廃棄が確実に行われるよう、全日遊連を始めとする関係団体が、それぞれ自らの立場で何ができるかを真剣に考え、行動に移していただきたいと思います。
なお、新規則機については、遊技機メーカーにおいて製造や新たな開発が進められています。当庁においても、射幸性を上げることに繋がるものではなく、魅力ある遊技機作りが可能となるよう、多彩な演出やゲーム性を高める内容の要望については、前向きに対応しているところです。これまでに業界の要望を受け、例えば技術上の規格解釈基準を変更し、新たなゲーム性を有する遊技機を開発可能とするなどしています。現在も日工組、日電協において様々な努力が行われています。
ところで、昨年5月から、ぱちんこ営業が信用保証協会の保証の対象、政府系金融機関の支援の対象になりました。実際に多くの営業者から申請がなされており、既に支援を受けられた営業者も多いと思います。これは税金を投入して営業の支援を図るものであり、長い間、ぱちんこ営業には認められないものでした。今回、業界団体から改めて陳情がなされましたが、これまで首を縦に振らなかった中小企業庁等の担当省庁から最終的に認められたのは、ぱちんこ営業の射幸性が風営法でしっかりコントロールされていること、とりわけ平成29年の規則改正によって射幸性が抑制されることとなったことに理解が得られたからでした。この点については、当庁と中小企業庁等との間でも色々とやり取りがあったところでした。
コロナ禍により、様々なビジネスモデルの転換が模索されています。ぱちんこ営業を取り巻く状況としても、冒頭述べた感染防止対策の安全・安心の問題のほか、ユーザーがレジャーに使用できる金額に今後変化が生じるかもしれません。一方で、世知辛い世の中で、娯楽に憩いと潤いを求めようとする人の人情もあろうかと思われます。
多くの要素が複合する時期ではありますが、このような時だからこそ、ぱちんこホール、遊技機メーカー、遊技機販売会社等が協力しながら、新規則機を活用し、射幸性をしっかり抑えた上で、客が安く安心して遊べる、新たな遊技環境を作り出せるかが問われるものと思います。業界全体での取組みを期待しています。