大阪府交野(かたの)市の星田駅前にあるパチンコホール『ひま・わり星田店』の景品交換所や駐車場が、大阪府が条例で営業を禁止する小学校から100メートル以内にあるとして、大阪府による当該店の営業許可の取り消しを求めていた裁判の控訴審で、大阪高裁は8月30日、景品交換所や駐車場とホールは「社会通念上一体とみなされる」ために営業許可処分を取り消すとした大阪地裁による第1審の判決を無効とし、1審原告らの訴えを棄却する逆転判決を言い渡した。
大阪高裁は、景品交換所や駐車場を風俗営業所に含めるかどうかを判断する根拠となる風適法の運用や同法に基づく営業の認可(大阪府による行政処分)が妥当性を欠くとして認可取り消しを求める「自己の法律上の利益」が、「被控訴人」という立場で裁判に挑んだ当該店の近隣住民には存在せず、そのために「原告適格」(原告としての適格性)を有しないと判断。「原告適格」を有しない以上、住民らの営業許可取り消し請求は不適法となるために、地裁による第1審判決を取り消すとの結論を示した。
本訴訟では、道路を隔てる駐車場と景品交換所がホール(ぱちんこ屋)と一体なのかどうかが争点のひとつとなっていた。またもうひとつの争点として、訴えを起こした近隣住民に「原告適格」があるかどうかが裁判の焦点となってきた。高裁判決では2点目の「原告適格」が近隣住民には無いとされたために、1点目の争点であった景品交換所や道路を隔てた駐車場のホールとの一体性について、判決のなかで触れられていない。
大阪地裁による2012年11月27日の1審判決では、これまでのホール出店についての訴訟では認められてこなかった住民側の「原告適格」が認められるという異例の見解が示され、また大阪府公安委員会による営業許可の判断を裁判所が否定するという踏み込んだものであったため、ホール業界関係者だけでなく、行政の担当官にも大きな衝撃を与えた。
高裁判決の傍聴にも出席した交野市議会議員のブログによれば、近隣住民らは最高裁への上告の準備を行う考えであるという。
[9月5日・日刊遊技情報]