パチンコホールにおける「コロナ対策」は本当に徹底されている。他業種と比べても遜色ないどころか、大きくしのぐものであると評しても過言ではないだろう。その要因の一つとして、パチンコ・パチスロ産業21世紀会が制定した『パチンコ・パチスロ店営業における新型コロナウイルス感染症の拡大予防ガイドライン』の存在が挙げられる。全国に8000軒以上ある店舗の大半が、このガイドラインを遵守しているからだ。
ただし最近では、一部の項目に対して独自の方針を打ち出す店舗も散見され始めた。東京都江戸川区で営業している強豪ホール『メッセ西葛西』では、トイレ内でこれまで停止していた「ハンドドライヤー」を再稼働させている。なお、手洗い場には以下のメッセージが掲示されていたものだ。
【ジェットタオル使用再開のご案内】
経団連が行った実験の結果、ジェットタオルの使用でウイルス飛散の可能性は低いと発表がありました。世界的に見ても、WHOやCDC等感染症対策の有力保健機関は「ジェットタオル使用」を推奨しています。(濡れた手は乾いた手に比べて、1000倍感染しやすくなります。手の完全な乾燥は、病原菌拡散に対する防御になります。)(原文ママ)
ちなみに「ガイドライン」においては次のように記載されている。
(6)トイレ関係
④ペーパータオルを設置もしくは個人用のタオルを準備
⑤ウイルス拡散防止のためハンドドライヤーは止め、共通のタオルは禁止
ここだけ読むと「ハンドドライヤーの使用再開」は時期尚早と捉える方もいるかもしれない。ただしメッセ側の主張も十分理解できるところだろう。
なお、厚生労働省の発表では「感染者のくしゃみ・咳・つばなどと一緒にウイルスが放出され、他者がそのウイルスを口や鼻から直接吸い込むことで感染する」などとされている。それを踏まえた上で、ハンドドライヤー事業者の言い分としては次の通りだ。「室内空気を搬送しているため、感染者の飛沫そのものを直接飛散させるものではない。よってハンドドライヤーの使用が、その他手段に比べて感染リスクを高める要因になるとは考えにくい」と。そう言われると、たしかにその通りかもしれない。
依然として多くのパチンコホールで停止しているハンドドライヤー。今後、「ガイドライン」を段階的に緩和するとすれば「ハンドドライヤーの利用再開」を検討する価値はありそうだ。