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【レポート】旧規則機の撤去期限まで3カ月、遊技機の適正処理をすすめる作業現場

撤去の遅れによってかさむ倉庫費用

遊技機を構成する部材はおおまかに金属、プラスチック、ガラス、木材などに分類され、最終処分場にて焼却するしかない部材はごくわずか。リサイクル法の定めもあって遊技機部品のリユースおよびリサイクルは大いにすすんでいるが、大型化する傾向のある遊技機は処理工場に少なからず負担をかけているようだ。須永工場長がつづける。

「遊技機の大型化は、容積のみならず、重量の増大もまねきます。容積が増えれば1台のトラックに積み込める台数も減ります。工場内での運搬や解体作業にも重量増の影響は出ています」

メーカー側には「大型化させた機種ほど遊技客の人気が高い」といった事情があるらしい。須永工場長ら処理事業者としては如何ともしがたい問題だ。

気がかりなのは、ホールが保有する旧規則機だ。倉庫保管分も含め、未排出の旧規則機は160万台も残存しているという試算もある。

手作業による解体

同社は埼玉県のほかにも愛知県と福岡県で処理工場を稼働させており、また、日工組の〝遊技機回収システム〟に参加する事業者は同社を含めて現在4社ある。各社とも年末から年明けにかけて処理能力の向上を図っていくとみられるが、倉庫の保管分も含め、今後排出される旧規則機の総数は正確には把握できていないのが現状であり、懸念材料になっているという。

ユーコーリプロ遊技事業部生産企画課の林田哲也課長は次のように語った。

「弊社では旧規則機(特にスロット)の撤去が来年1月末に集中することは避けられないと考えています。人員や操業時間の拡充を行い受け入れ体制を整え、できる限りの対応をおこなう予定です。しかし業界全体で考えると少し不安を覚えることがあります。ご存知ないホール様も多いのですが、使用済み遊技機の処理についてはリサイクル推進委員会で取り決められたガイドラインに厳格に規定されています。われわれ指定業者はこのガイドラインに基づく選定を受けていますが、旧規則機の撤去が同じ時期に集中し、選定を受けていない業者へ使用済み遊技機が大量に流れた時、果たしてきちんと処理がおこなわれるのか危惧されます。なんとかできるだけいまのうちに不要な遊技台の排出をすすめていただき、来年1月末の撤去台のボリュームを減らすことが何よりも必要なのではないでしょうか。メーカー様も積極的に買い取を行っておられますので、弊社ユーコーリプロのホームページを一度ご覧になっていただければと思います」

林田課長が言うガイドラインの正式名称は「使用済み遊技機の管理及び解体処理に関するガイドライン」。遊技機リサイクル推進委員会が制定した。同委は日遊協を座長に全日遊連、日工組、日電協、全商協、回胴遊商、愛材協の業界7団体から構成されている。

ガイドラインでは使用済み遊技機の「適正処理」について選定を受けた指定処理業者によって担保される考え方を明確にしており、業界の総意としての取り決めだけにきわめて重い意味をもつ。〝野積み〟の再現を完全に断ち切るためにも、この意味を明確に認識する必要があるだろう。

使用済み遊技機がどのような工程で処理され、その役割を終えるのか。リユースやリサイクルを視野に入れたメーカー側の製品開発はもちろんのこと、ホール側もしっかりと関心を高め、遊技機の適正な処理をはかりたい。

ユーコーリプロ東日本リサイクル工場での取材動画もご覧ください


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