日本遊技関連事業協会(日遊協)の近畿支部は15日、大阪市健康局を訪問し、遊技業界の依存問題への取組みを説明するとともに、正しい認識の共有、定期的な報告など今後の連携等に向けて意見交換を行った。
これは、大阪市会において5月25日、「パチンコ、パチスロ等をギャンブルに位置づけ、ギャンブル等依存症防止のための適切な対策を促進させることを求める意見書」が可決されたこと、また松井一郎大阪市長が記者団に「パチンコは夜店のスマートボールと同じ扱い」「ギャンブルと位置付け、真正面から依存症の方のケアに取り組むということだ」などと発言したことが、インターネットニュースサイト等で広く拡散したことを受けての対応。また、日遊協では今月3日、大阪市長に対し文書を送付し、遊技業界の取組みを説明するための機会を設けて欲しいと要望していた。
当日は、日遊協近畿支部の増田光均支部長をはじめ、本部執行部ら5名が大阪市役所を訪問。増田支部長は大阪市健康局健康推進部の担当者らに対し、日遊協の組織概要、訪問の趣旨、業界の現状などを説明し、浜田昭文常務理事は松井市長発言報道の影響、マスメディアの動き、世論の受け止め方などの考えを意見した。これに対し担当者からは「大阪府遊技業協同組合とはこれまでも、我々が作成したポスターに掲示でご協力をいただくなど、以前から協力体制があり、これからも様々なレベルで連携、協力体制をとっていきたいと考えている」「松井市長には『ギャンブル等』の『等』にパチンコが含まれているというのは、以前から既に説明済みで認識もある」などと発言があったという。
最後に増田支部長は「遊技業界では依存問題対策、予防に尽力している。大阪市には今後も、遊技業界の依存問題対策・予防への取り組みを定期的に報告させていただき、協力・連携体制を深めていきたい」と改めて伝えた。
以下は、松井市長への要望書(要旨)。
日遊協本部発第31号
令和4年6月3日
大阪市長
松井 一郎 殿
一般社団法人日本遊技関連事業協会
会 長 西村 拓郎
一般社団法人日本遊技関連事業協会
近畿支部支部長 増田 光均
【パチンコ業界の依存問題対策へのご理解と定期報告のお願い】
謹啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り御礼を申し上げます。
さて、5月25日付のニュースサイト「産経ニュース」で、大阪市会で「パチンコ、パチスロ等をギャンブルに位置づけ、ギャンブル等依存症防止のための適切な対策を促進させることを求める意見書」が可決されたことに関連し、松井一郎大阪市長が記者団に対して「パチンコは夜店のスマートボールと同じ扱い」「ギャンブルと位置付け、真正面から依存症の方のケアに取り組むということだ」などと発言されたと報じられました。
しかしご承知のように、ギャンブル等依存症対策基本法において「ぱちんこ」は風営法対象業種ながら「ギャンブル等」と括られ、業容の異なる公営競技と横一線の依存問題対策を求められております。
パチンコ業界ではこうした状況を真摯に受け止め、政府の定めた「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」に基づいて、
1.広告宣伝への取組
・全国的な指針を踏まえた広告・宣伝の抑制
・お客様への適度な遊技の啓蒙
2.アクセス制限や施設内取組
・ぱちんこにおけるアクセス制限として「自己申告・家族申告プログラム」の運用拡大
・出玉規制を強化した遊技機の普及、出玉情報等を容易に確認できる遊技機の開発・導入
3.相談・治療に繋げる取組
・リカバリーサポート・ネットワークの相談体制の強化及び、機能拡充のための支援 ・「安心パチンコ・パチスロアドバイザー」による依存防止対策の強化 ・民間団体への経済的支援などの多様かつ重層的な依存問題対策を強力に推し進めている最中でございます。
その評価についても、内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部において、各取組における進展を評価されております(添付参照:ギャンブル等依存症対策推進基本計画令和3年度(上半期)までの進捗状況及び評価について(概要)令和3年12月)。当然のことながら、パチンコ・パチスロ業界としても関連事業者へ一層の啓蒙を図り、引き続き活動を強化していくところです。
先の報道における松井一郎大阪市長のご発言に対して、パチンコ・パチスロ業界は大変なショックを受けると共に、産業の現状(出玉規制強化ですでに2割の店舗が閉店、直近1年577店閉店)や依存問題対策への取組についての広報の努力が欠けていたことを痛感しております。当業界の取り組みをご理解いただくために、定期的にご報告に伺う機会をいただければ幸甚です。公務お忙しいなか大変恐縮ではございますが、何卒ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
謹白