編集部ではグランドオープン店舗や注目店舗、注目エリアの稼働調査を実施している。本稿では稼働調査における注目店舗をピックアップし、店舗の詳細およびその市場動向を紹介する。
成通グループ(本社:岡山市)は2019年12月27日、千葉県野田市に『ハリウッド七光台』をグランドオープンした。同年夏にグループ化した『フェスタ野田』を1カ月ほど休業して完全改装を行っている。本稿では2月29日土曜午後に『ハリウッド七光台』とその周辺店舗の調査を実施した。
『七光台』のオープンにあたっては外内装のリノベーションが施されており、外観は青と白のツートンカラーでまとめられている。内部もほぼ新店同様の装いとなっており、大型のレストスペースや喫煙ブースなどを設置。島設備の一部に前店舗からの流用が見られる程度だ。オープン時より全席禁煙となっており、レストスペースには20人近くが利用できる大型の喫煙ブース、対角線上の遊技コーナーにも10人近くが入れる比較的ゆったりとした喫煙ブースが設けられている。パチンコは全台に各台計数機が導入されており、パチスロのみ箱積み。快適な遊技環境を整備した「提案型ハリウッド」としてアピールされている。
同店の客付き状況はグランドオープンから約2カ月経過していたこともあってか休日昼過ぎで稼働率4割弱とやや落ち着いている。低貸玉を中心に若年層の姿が多く、パチスロ客の多くは喫煙ブースを利用していたものの、パチンコ客はあまり利用していない様子だった。新台入替も少数台メインで低貸玉または「ジャグラー」コーナーが稼働の中心と、コンセプト通りに快適な遊技環境でゆったりと遊びたい客層が多いようだ。
周辺店舗は、同店の東方向1キロ程の位置にある『ハリウッド野田』が稼働率7割弱でエリアトップの稼働率。主力機はほぼ満席だった。ほかには、国道16号から『野田』店へ入る手前に『グレードワンR16』、大通りから離れた地域密着型の『国際センター七光台店』やさらに北上した位置の『CHALLENGER』など小規模店がほとんど。同規模の店舗は南に4キロほど離れた『SAP野田』以外には大宮方面へ出るしかない。『ハリウッド野田』が圧倒的な一強となっている市場で他店舗はかなり厳しい状態だ。低貸玉中心だが新台入替もほとんどなく、パチスロの半分近くがベニヤ張りとなっている店舗も見られた。
新たにグランドオープンさせた『七光台』だが新台入替の規模やスタッフ数などは明らかに既存の『野田』が勝っている。交通量の多い国道16号側にも2015年に閉店した『ミスターパチンコ野田店』がそのまま放置されていたりと出店余地は他にもあったはずだが、あえて住宅地側の店舗を取得したのは『野田』をメインとしつつ、集客に影響が出ない程度に溢れた客を吸収する店舗が必要だったのだろう。結果として2店舗合計の集客数は既存店の設置台数をも上回っている。既存店と正反対のコンセプト、少ないスタッフ数で運営できる遊技設備、禁煙化への先行対応とメリットを得つつ、しっかりと利益も取れるだろう非常にスマートな店舗展開だ。
ただし目的達成の為ならば本来ここまでの大型リニューアルは必要なかったようにも思える。設備などを更新して屋号変更で済ませようとするグループも多いだろう。業界自体が苦しい中であえてしっかりとコストをかけて、環境を整える。そんな姿勢が常連客に伝わっているからこそ地域一番店の座を確かとし、さらに客数を伸ばすことが出来ている。
※本稿は2020年3月6日付け「日刊遊技情報」に掲載した記事をweb用に編集したものを掲載しております。