次に、営業所のATM等の撤去等についてです。ATM及びデビットカードシステムについては、基本計画において、本年度中に、ぱちんこ業界において、ぱちんこ営業所のATM及びデビットカードシステムの撤去等に向けた検討に着手し、その結果に基づき順次、撤去等を推進することとなっています。ATM及びデビットカードシステムについては、その設置が民間事業者間の契約関係に基づき行われているという現状に留意する必要があり、ギャンブル等依存症対策推進関係者会議においても、業界関係者から「法的に、事業者と事業者で契約をしているということ自体で、ATMの撤去は非常に難しい」との発言がされておりますが、その一方で、同会議においては、ATM等に利用限度額が設定されているとの説明がなされても、なお、複数の委員から例えば「どうしても、ぱちんこをやっている状況の中でそこに設置されていると非常にお金を使いやすくなると、外からはそのように思えます」、「やはりATMは撤去していただきたい。」、「依存症の方々を救うという面から言いますと、事業者の利益や利便性のためにその方々を踏み台にしてまで設置しておく必要はないのではないかと思います。」といった発言がなされております。先ほどの自己申告・家族申告プログラムと同様、各営業所や各事業者団体の取組姿勢が見られていると考えています。関係者会議での議論を踏まえ、同会議等において賛同が得られるかという視点にも考慮した上で、業界として基本計画に基づく取組を推進するようお願いします。なお、各公営競技についても、基本計画においてATMの撤去が掲げられているところ、既に撤去に着手したり、現行契約の更新を行わない形で順次撤去していく方針を定めたりしているものと承知しており、こうした取組がぱちんこ業界の取組と比較され得ることを御認識いただきたいと思います。
次に、出玉規制の強化については、令和3年春までに、全ての遊技機を新規則に適合するものに入れ替える必要があります。しかしながら、令和2年の後半には新規則機に対する需要が相当な量となり、供給が追い付かないことも懸念されます。したがって、引き続き、計画的に旧規則機の撤去等を進めていただきますよう、よろしくお願いします。
次に、依存問題に関する普及啓発の推進については、本年5月のギャンブル等依存症問題啓発週間において「パチンコ・パチスロ依存問題フォーラム」が開催され、多くの方が参加されたと承知しています。また、期間中における啓発等についても積極的に取り組んでいただいたものと承知しています。来年以降も引き続き、ギャンブル等依存症問題に関する関心と理解を深めるという啓発週間の趣旨にふさわしい取組がなされるとともに、年間を通じても、SNS等も効果的に活用し、依存問題に関する普及啓発を推進していただきますようお願いいたします。
次に、自助グループをはじめとする民間団体等に対する経済的支援については、本年度、全日本社会貢献団体機構において4団体に対し助成を行っていただいたものと承知しております。また、業界においては、依存問題に取り組む民間団体等への支援を拡充するため、新たな団体を設立したとも聞いております。基本計画においては支援の実績を公表することとされていることも踏まえ、引き続きの取組をお願いいたします。
また、リカバリーサポート・ネットワークについても、ぱちんこ業界全体でその活動を支えていただいているところであり、相談件数も昨年は開設以来の最高件数を更新したと承知しています。引き続き、相談状況に応じて適切な体制・機能がとられるよう業界を挙げて支援を実施していただくとともに、相談者の統計情報の集計・分析を充実させるなどにより、ぱちんこへの依存問題を抱える人の環境等の実態把握に努めていただきたいと思います。
さて、今申し上げたようなギャンブル等依存症対策の実効性を最大限に確保するためには、徹底したPDCAサイクルにより計画的な取組を推進することが重要であるとされております。そこで、今般新たに行われることになる一般社団法人遊技産業健全化推進機構による依存防止対策の実施状況調査等を通じて、各ぱちんこ営業所における取組の実施状況について、PDCAサイクルの中で的確に把握し、適宜改善を促進してもらいたいと思います。
また、基本計画には、警察が行うべき取組も記載されており、各都道府県警察においては、ぱちんこ営業所に対する立入り等を通じて、依存防止対策に係る措置が適切にとられているかの確認を随時行うこととしておりますので、御承知おき願います。
さらに、基本計画の取組の一つである「依存症対策の基盤整備」に関しては、本年9月17日に発出された厚生労働省から各自治体への通知文にあわせ、本年9月19日付けで貴団体を始めとする各ホール関係団体に対し、「ギャンブル等依存症対策における各地域の包括的な連携協力体制への参画について」と題した通知文を発出しております。皆様におかれましては、各地域の包括的な連携協力体制に参画し、他の関係機関との円滑な連携を確保するとともに、情報や課題の共有、最新の知見の収集等を図り、業界における依存症対策への活用を検討していただくようお願いします。
以上、ぱちんこへの依存問題への対策についてお話ししてきましたが、この依存問題については、皆様も十分にその重要性は認識いただいているとは思いますが、国会や報道等においても大きく取り上げられており、皆様の業界としての取組が注目されています。9月19日付けで、貴団体を始めとする各ホール関係団体に対し、基本計画に掲げられた各施策に係る先進的な取組について、随時報告していただくことをお願いしているところ、例えば、ホール企業の取組として、独自に、依存による問題の予防と拡大防止に向けたセミナーを地域の自治体の保健福祉部局等とともに継続開催しているといった報告等をいただいております。警察庁としても、引き続き、こうした取組は積極的に紹介していきたいと考えております。
射幸性の抑制に向けた取組について
次に、射幸性の抑制に向けた取組についてお話しします。
射幸性の抑制に向けた取組として、業界を挙げて、新基準に該当しない遊技機の撤去に努めていると承知しております。そのうち、「特に高い射幸性を有すると区分した回胴式遊技機」については、本年1月31日までに各営業所における設置比率を15%以下とする全日本遊技事業協同組合連合会の削減目標が延期され現在に至っているものと承知しております。こうした削減目標については、その再設定に向けて現在検討されているとも承知しているところ、仮に目標を再設定するにしても、ぱちんこへの依存問題等により、ぱちんこ業界に対し、国民から厳しい視線が向けられる中、新たな目標が世間からどのように受け止められるかなどをよく認識した上で、いずれにせよ、業界全体として真摯な取組を進められることを期待しています。