本稿では、弊社が運営している「たばこの吸えるパチンコ店検索サイト『パチモク』」における登録店舗の状況をもとに直近約1カ月の動向をレポートする。
直近の約1カ月で66店舗増加
11月1日時点で『パチモク』に登録されている加熱式たばこ専用エリア(以下、加熱式エリア)設置のパチンコ店は41都道府県609店舗。前回集計した10月31日からの1カ月間で66店舗増加した。
加熱式エリア設置店が急増した7月(1カ月間の増加数126店舗)、8月(同147店舗)に比べ、加熱式エリアを設置する動きはここにきて少し落ち着きを見せ始めたと言ってよさそうだ。
コロナ禍による業績悪化で加熱式エリアを設置出来ない
都道府県別での内訳を見ると、引き続き東京都が最も多く190店舗。次いで、神奈川県と埼玉県が71店舗で2番目に多く、大阪府が47店舗、千葉県が45店舗、愛知県が23店舗と続く。
一方、秋田県、福井県、兵庫県、岡山県、山口県、高知県の6県では加熱式エリア設置店が確認されていない。兵庫県では県条例により加熱式エリアが認められていないため、設置店がないのは当然だが、残りの5県ではそういった事情もないのに設置店はないのはどういう理由なのか。
ある県遊協の関係者に聞くと「当県では店内喫煙ブースの設置ですら大手ホールのみで、ほとんどの店舗が外に灰皿を置いて、外でたばこを吸ってもらっている。コロナ禍の影響で県内のパチンコ店は業績が下がっており、加熱式エリアを設置する余裕がないのでは」と話した。
店舗の規模や構造によっては、加熱式エリアを設置するために数千万円の費用がかかるといい、同県に限らず設置に踏み切れないホールは一定数存在しそうだ。
東京都では4店舗に1店舗が加熱式エリア設置店
10月中の新規登録店舗を見ていくと、東京、埼玉などでパチンコ店『トワーズ』を41店舗運営するオザムが、ここにきて『所沢店』『松伏店』『狭山ヶ丘店』『小手指店』『東所沢店』『羽村駅前店』の6店舗を一気に加熱式エリア店舗としてリニューアルさせている。
また、10月初旬にダイナムが『柏崎店』(新潟県柏崎市)と『相模原店』(神奈川県相模原市)の2店舗で同社の運営店舗として初めて加熱式エリアを設置し注目を集めたが、その後は新たに加熱式エリアを設置する店舗はなかった。
ある店舗のチラシには「お待たせしました!」との文言が見受けられ、遊技客からの要望を受けて加熱式エリアを設置する店舗もあるようだ。一方、設置店舗が全国で最も多い東京都においては、およそ4店舗に1店舗が加熱式エリア設置店となっており(753店舗中190店舗が設置)、もはや加熱式エリアの設置だけでは競合店との差別化が図れない状況となっている。そのため、パチンココーナーを加熱式エリアとする動きや加熱式エリア内の設置機種をテコ入れする店舗も一部出始めている。