「１年間の新台販売数ランキング」のトップは『三洋物産』で約２５万台、入替特需には程遠くパチンコ・パチスロ遊技機メーカーは依然として大苦戦

本稿では、弊社が独自に集計した遊技機の設置台数情報を元にして、パチンコ・パチスロ遊技機メーカーにおける直近１年間の「新台販売数ランキング」をご紹介する。

２０２０年７月１日から２０２１年６月３０日の間に導入が開始された遊技機を対象とし、「機種ごとに最も設置台数が大きかった時期の数値」を販売台数とみなしてカウントしている。なお、設置台数情報が不明なホールも１割程度存在するため、実際の販売台数に対して９掛け程度の数値となっている点にご留意いただきたい。

ちなみに直近１年間における新台の合計販売台数はパチンコ機が１５１機種８５万台、パチスロ機が６０機種３９万台で計１２４万台ほどであった。

■トップは約２５万台販売した「三洋物産グループ」

三洋物産グループホームページ

そんな中で見事１位に輝いたのは、当然のように「三洋物産グループ」。約２５万台を販売しており、パチンコ機の総販売数に対して４分の１以上を占めている計算だ。昨年末に導入を開始した「Ｐ大海物語４スペシャル」の約６．５万台を筆頭に、旧規則「海シリーズ機」との入替需要は圧倒的である。他メーカーが新台販売に大苦戦しているのを尻目に、今後も大量導入を続けていくことだろう。

なお、２０２０年最大のヒット機種といっても過言ではない「Ｐ大工の源さん　超韋駄天」については、発売日が２０２０年４月であったために本稿の数値には含んでいない。販売開始以降に増産を繰り返し、今では７．５万台以上にまで膨れ上がったメイン機種である同機を含めれば、「三洋物産グループ」の実質的な総販売数は３０万台ほどとなる点にも触れておきたいところである。

パチンコ機の総販売数で２位につけたのは「京楽産業グループ」で１３万台程度。「ぱちんこ　仮面ライダー　轟音」の３．５万台や「ぱちんこ　ウルトラマンタロウ２」の２．４万台など複数の話題機を市場投入するも、ブランド力を考えればいずれも物足りない数値に留まっていた。トップの「三洋物産グループ」とはダブルスコアの差が付いてしまっている。

更に「ＳＡＮＫＹＯグループ」が１０万台、「サミーグループ」が８万台ほどと続いていて、新規則機への入替特需には程遠い販売実績と評さざるを得ないだろう。

■パチスロ機でのトップは「北電子」

一方のパチスロ機については更に厳しい状況が続いている。トップとなった「北電子」が６号機「アイムジャグラーＥＸ」の８．４万台を中心に販売台数を伸ばすも、１年間合計では１０万台に満たず。「サミーグループ」や「大都技研グループ」もわずか４万台前後という寂しい数値である。

北電子ホームページ

むろん秋口以降には入替需要による販売台数の伸長も多少期待できるが、（ホールの倉庫に眠っている６号機の旧機種をとりあえず再設置させる動きも多くなりそうであり）市場に残る旧規則機の全てが最新台に置き換わることは無さそうだ。

製造に必要な部材の調達自体が難航することも予想されており、メーカーは引き続き難しい舵取りを迫られることだろう。とはいえ、パチンコ業界の活性化には魅力ある遊技機が不可欠だ。各社の奮闘に期待したいものである。

■直近１年間におけるメーカー別新台販売総台数一覧（2020年7月から2021年6月）