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【寄稿コラム】パチンコの一人負け、公営競技との違いは何処に ~レジャー白書2021を紐解く

かつて斜陽産業と評された「地方競馬」の多くも確実に回復に向かっている

地方競馬はかつて斜陽産業と呼ばれ続けたものだ。26場あった競馬場は15場まで減少し、再建は困難といわれていた。むろん全ての地方競馬が復活しているわけではないが、多くの地方競馬は確実に回復に向かっている。そんな再建に成功した地方競馬には必ず理由があるもの。その中で、奇跡とも呼べる復活をとげた「高知競馬」に注目してみる。高知競馬の主な変革ポイントは次の通りだ。

①温暖な気候を利用した「夜さ恋ナイター」という名称の「通年ナイター」開催。
②前走4戦が未勝利馬のみのレース「一発ファイナル逆転レース」開催。
③競馬好きタレントの馬券投票をリアルタイムで配信。
④100連敗の「ハルウララ」、不治の病を抱えた馬「グランシュヴァリエ」など「強い馬」以外での話題作り。
⑤「地方競馬コア客層=高年齢者」という先入観の排除と新規開拓。
⑥IPAT、SPAT4などJRAの相乗り投票インフラの整備。

ちなみにこれをパチンコ業界に置き換えると、店舗立地特性・機種構成・スペック・コンテンツ・プロモーション・顧客アプローチに通ずる部分も多いように思えてならない。

公営競技の成長をお手本とすべき、パチンコ低迷の陳腐な言い訳「射幸性の低下」は自縄自縛

なお、新種の馬券(高額配当が出現しやすい射幸性の高い馬券)を登場させれば一定のファンが投票するのは事実。しかしながら、既存馬券からの「乗り換え」が中心で、全体を押し上げする効果はほとんど無いのが実態といえよう。少し意外かもしれないが、高額配当が出現しやすい馬券を発売すると、反対に「単勝」「複勝」といった既存のシンプル且つ配当が低めの馬券における投票比率が上昇するというデータも出ている。

これはつまり「射幸性の上昇や低下」だけがギャンブルレジャー全体に影響を与えているわけではないことへの何よりの証左といえる。日本人はそもそも「賭け事」が好きで「賭け事」を楽しめる国民性を持つのだ。射幸性の高い・低いは所詮味付けの一つに過ぎない。そうした事業の根幹を公営競技の成長が教えてくれているように思う。

まとめ総括

①公営ギャンブルはコロナ禍による「ステイホーム」の影響もありすべて上昇。
②ただ、公営競技はコロナ以前よりネット投票やレース時間の見直しなど、「顧客ベース」でのアプローチ手法や利便性を追求した結果であり偶然ではない。
③パチンコだけが業績を低下させているが「顧客ベース」での変化は無く旧態依然、昭和~平成と変わりなく取り残された。
④射幸心の高揚は歯止め程度になるが抜本策には程遠い。

確かに②のような展開をするには「法と規則」の改正が必要となる。だが「現金」のみで決済する商業施設はもはや「駄菓子屋」と「パチンコホール」くらいだ。仮想通貨や暗号資産の使用は無理としても、最低限でも電子マネーやポイント使用、クレジット決済は不可欠だろう。ちなみにスマート遊技機においても遊技者が着席した後に現金を投入する点は変わらないのだ。多額の現金を持つ人はありがたいが、こんな遊技客は今後減ることはあっても増えるとは思えない。

サービス業の決済が「脱現金決済」へと移行している中で、「現金決済専用業種」という新しい「絶滅危惧」産業として経産省や金融庁が認定してくれそうである。などと嫌みの一つも言いたくなってしまう状況。変わらなくては。

お詫びと訂正:「発行元の公益財団法人『日本生産性本部』は経産省の所管である」と記載しておりましたが誤りでした。同本部は経産省の所管ではありません。お詫びして訂正します。


コメント:1件 コメントを書く

  1. 何て言うか、素直に嬉しいね、ヘェー
    景気の好ければなぁパチンコにはパチンコ税でも導入すれば

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