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避けられない旧規則機の集中撤去 この危機をどう乗り越える?

株式会社ユーコーリプロ/金海基浩常務取締役

残り2ヶ月で100万台

最終撤去期限まで残り2ヶ月と迫った。そんな中、未排出の旧規則機が少なく見積もっても100万台を超えてくる可能性が強まっている。

業界団体が発表した最新統計によると、市場に残る旧規則機は10月末現在でパチンコとパチスロを合わせて99万3000台。認定・検定切れの倉庫保管分は9月末現在で33万1000台(回答率82.3%)に上っていた。

一方、日工組指定の適正リサイクル処理事業者4社の年間処理台数はコロナ前の2019年実績で合算約100万台だった。向こうわずか2ヶ月のうちに年間処理台数に匹敵する旧規則機が一挙に排出にまわるか控えるということになる。大丈夫か?

指定リサイクル処理事業者に広がる戸惑いと危機感

「伝えられる旧規則機の残数からいえば、この時期、搬入される旧規則機はもっと増えていていいはずなのですが…。残り日数を考えると本当に大丈夫かなと思ってしまいます。2016年当時、『検定機と性能が異なる可能性のある遊技機』の撤去がありました。あのときも最終期限に撤去が集中し、弊社の処理プラントにも排出台が押し寄せました。しかし今回は当時の比ではありません」

日工組指定4社のうちのひとつで、福岡と埼玉、愛知の全国3拠点でリサイクル工場を操業する株式会社ユーコーリプロ常務取締役の金海基浩氏は戸惑いと危機感を口にした。

ユーコーリプロ西日本工場内の様子。受入れのピークは年明け1月末の最終期限以降が想定される。しかし認定・検定切れについてはできるだけ早く排出する必要がある。

ぬぐえないリサイクルシステム機能不全と野積みへの懸念

こうした危機感は行政にも伝わっている。11月9日にオンラインで開かれた余暇進秋季セミナーで、行政講話を書面で寄せた警察庁生活安全局保安課の池田雄一課長補佐は、「遊技機のリサイクルシステムが機能不全に陥らないようにしていくことが大事」だと指摘し、排出の集中で廃棄台が指定リサイクル処理プラントに一挙に流れ込む事態に懸念を示した。そしてそれを回避するためにも倉庫に保管される旧規則機から排出を急ぐよう求める一方、すでに九州のように、地元の業界関係団体間で調整し、計画的な廃棄に取り組んでいる地域もあると評価した。

要するに池田課長補佐はリサイクルシステム(指定リサイクル処理プラント)の「機能不全」を適切な廃棄の「阻害要因」に重ねる認識を示した。そして適切な廃棄にはシステムが正常に機能することが大前提であり、過去に起こった“野積み”を繰り返さないことが求められていると言及した。

ゲーム性の向上に水を差してはならない

目を引いたのはこの問題にリンクさせる形でもうひとつ言及のあったことだ。「遊技機のゲーム性の向上」に関する言及だ。適正かつ計画的な廃棄処理」を要請したのに続けて池田課長補佐は、魅力ある遊技機づくりが可能となるよう、多彩な演出やゲーム性を高める要望については前向きに対応していること明らかにした。

撤去の遅れはとくにパチスロに目立っている。新規則機に対する市場の支持が弱含みで推移していることが最大の要因だ。その結果パチスロには減台も視野に入ってきた。

入替の促進にはゲーム性の向上が不可欠だ。その実現のためにも旧規則機に求められる適正処理をやり遂げなければならない。適正な廃棄は業界自身が策定したルールによって指定リサイクル処理プラントへの搬入をもって担保されている。今回の講話で池田補佐はこのルールの順守をあらためて要請した。現在検討が進められるゲーム性の向上に対し、不適切な廃棄処理が水を差すような事態は絶対にあってはならない。

最終コーナーをまわった旧規則機の撤去問題

撤去もいよいよ最終コーナーだ。足下の部材不足も重なり買取にさらに力を入れるメーカーも目立ってきた。前出のユーコーリプロのホームページではメーカーの買取関連の情報を積極的に発信している。「ご覧になられてない方もいらっしゃると思います。ぜひ一度覗いてみてください」。金海常務はこう呼びかけると次のように続けた。

「撤去期限まで残りあと2ヶ月。排出のヤマは2月以降に訪れると思いますが、弊社では人員や操業時間の拡充を行い、受け入れ体制を強化し、適正処理の完遂に向け最後まで全力をあげて取り組んでいきます。思い起こすと、倉庫整理の呼びかけとともに日工組さんと加盟メーカーさんから買取強化が打ち出されたのは昨年の夏のことでした。また、それ以前から多くのメーカーさんが下取りの拡充に取り組まれるなど、早い段階から旧規則機の撤去支援に動かれていました。さらに今年9月には日工組非加盟メーカーである北電子さんが日工組さんの了解のもとに日工組回収システムの活用を開始されるなど、既存の枠組みを超えて適正処理に取り組まれています。こうした努力がなければ状況は現在よりもさらに悪くなっていたかもしれません。日工組指定の処理事業者として深く敬意を表したいと思います」

適正処理を進めるため今年9月から非加盟の北電子も日工組回収システムに参加した。日工組指定業者のユーコーリプロにも同社製パチスロ機が搬入されていた。ユーコーリプロ西日本工場(福岡県北九州市)にて11月15日撮影

適正処理への道筋は見えている 行動力・実行力が問われている

さて、最終期限に撤去が集中するのは避けられない情勢が見えている。問題はそこをどう乗り越え、適正処理をどうやりきるかだ。

「鍵を握るのは保管スペースの確保になると思います。撤去が集中しても排出が分散されれば指定処理プラントのひっ迫は避けられます。お願いできる立場にないことは重々承知しています。ですが、このことだけはご理解いただきたいと思います」(金海常務)

さしずめ遅れている不要台の排出を急ぐ必要があるだろう。倉庫に眠る認定・検定切れ旧規則機の排出だ。来るべき集中撤去に備え、保管スペースの確保に意識を傾ける必要がある。

適正処理をやりきる道筋は見えている。問われるのは行動力・実行力だ。

株式会社ユーコーリプロホームページ
http://www.yuko-repro.co.jp/


コメント:9件 コメントを書く

  1. ちょうどいい機会だ。パチンコ屋が日本から無くなればいい。
    依存症の自分もパチンコ屋無くなれば打てない。
    本当にパチンコパチスロは百害あって一利なし。
    パチンコ業界が何か些細なことでも社会貢献しているだろうか?全くしてない!

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  2. 撤去そのものを辞めればいい。
    台の入れ替えは店の負担になり、設定や釘が酷いことになり、ユーザーにマイナスが降りかかるのは目に見えて居る。
    そもそも、なぜ稼働の良く壊れていない台を撤去するのか、合理的理由がない。
    警察の天下り先を増やすのが目的だが、金の鶏を殺す行為に似ている。
    大型店には、まだ北斗が百台近くある店も、珍しくないが、その交換費用も高くつく。
    小型店なら、そのまま倒産してしまう所も多数出る事は確実。
    問われる行動力、実行力とは店も打ち手も得する方法しかない。

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