フィリピンに日本のパチンコホールのオペレーションを踏襲した「遊技場」が、今年12月12日にオープンする見込みとなっている。この「遊技場」を事業展開するのは、アジア・アミューズメント開発。同社は25日、事業展開についての記者会見と、本プロジェクトに関心を寄せるパチンコ業界関係者などを対象にしたセミナーを開いた。記者会見には、同社の田守順代表取締役会長、山崎竜代表取締役社長、吉野博高取締役が出席した。
「遊技場」がオープンするのは、フィリピンの首都・マニラから車で約2時間の距離に位置するタルラック州タルラック市。人口30万人強の地方都市である。店内には142台の「ゲーム機」を設置し、日本のパチンコホールと同様のオペレーションにより営業を行うとしている。
設置される「ゲーム機」は、本プロジェクトのために開発された全面液晶の機械であり、日本のゲームクリエイターにより過去のパチンコ・パチスロを題材として開発された。液晶画面にパチンコを題材としたゲーム、パチスロを題材としたゲーム、パチンコとビンゴゲームを複合させたゲームの計3種類を搭載。このなかから遊技者が任意に選択して遊技する。パチンコの玉やパチスロのメダルは液晶上に再現されており、玉の打ち出し位置などを筐体に設置されているハンドルで調整する。
遊技の流れとしては、まず遊技者は事前にポイントを内蔵したICカードを購入。これを「ゲーム機」に差し込み遊技する。遊技料金は未定とのことだが、田守会長は「1000ペソ(日本円換算で約2800円)で1時間程度遊べる」価格帯をイメージしているとのこと。遊技終了後には、貯まったポイントを賞品と交換。賞品は昔のパチンコホールのように日用品を数多く揃えるという。ポイントの換金については現時点では予定していない。フィリピンにおける同店の法的な位置づけとしてはゲームセンターとなっている。ビジネス許可申請は現地のタルラック市に行い、今月23日に認可(営業許可)を受けた。
このビジネススキームには複数の企業が関わる。プロジェクトを中心的に推進した企業はピーコスという日本法人。夢コーポレーションの創業者で、本年9月まで同社会長を務めた松田泰秀氏が代表を務める。店舗に設置する「ゲーム機」の本体はシンガポールの法人が製造、販売を担当。「遊技場」の運営をフィリピンの現地法人が担う。メーカーと運営法人の間には、「ゲーム機」のレンタルや店舗運営をコンサルティングする別の現地法人も存在。アジア・アミューズメント開発がこれらの企業の間に立って事業全体を推進する。
田守会長はプロジェクトを発足させた経緯として、「2013年11月、フィリピンで幅広い人脈を持つ日本人経営者から、今回の事業展開に繋がる依頼を受けた。それからフィリピンに行き、事業の可能性を調査した。フィリピンには世界第4位の市場規模を持つカジノがある。しかも、カジノ利用金額の8割が国内消費だ。また街中のビンゴゲームセンターは人で溢れている。このことから新たな「遊技場」を展開する市場性は十分に存在すると判断。プロジェクトの発足を決めた」と話した。
このプロジェクトに関心を持つ業界関係者を対象として記者会見終了後に開かれたセミナーで田守会長は、フィリピンには現在、同様の形態で「遊技場」を出店できる候補地が20弱存在すると説明。「私は38年間の業界経験を持つが、日本の娯楽文化を世界に発信したいという思いがあった。フィリピンは、人口が1億人を突破し、国民の平均年齢は23歳と非常に若い国家。昭和40年代の東京を彷彿とさせる雰囲気を持ち、市場の伸び幅も大きい」と、現地の魅力も交えて同国の将来性を紹介。パチンコホール運営企業にとってこのプロジェクトに参加することにより、「収益に対する市場ポートフォリオの拡大による経営の安定化」と「海外展開企業として社会的評価の向上」といったメリットがあると参加を呼びかけた。
[2015年11月30日・日刊遊技情報]