本稿では「生き残るために取り組むべき方策とは」をテーマにして、メーカー勤務者より寄せられた提言等をコラム形式にて紹介する。あくまでも個人の私見であることを前提としつつ、業界の現状を真剣に考える一意見として参考にしていただきたい。
20年間で半減したのは「金額」という市場規模ではなく「顧客」という財産
下記表は、総務省の「社会生活基本調査」におけるパチンコ参加人口数および参加回数の推移をまとめたものである。ちなみに同調査は5年に一度実施・公表されており、次回は来年に予定されている点も付記しておきたい。
参加数自体が右肩下がりなのはもちろんのこと、参加回数の増加によりヘビーユーザー化の傾向で推移してきた点は皆さんもご承知の通りだろう。それが前回2016年時で反転し、参加数に加えて参加回数も減少していた点は由々しき事態であった。
そんな歴史背景をあえて紐解くまでもなく、(昭和から平成初期にかけて声高に叫ばれ続けたキャッチフレーズ)「大衆娯楽」などという言葉は既に死語の領域だ。20年間で半減したのは「金額」という市場規模ではなく「顧客」という財産。そう捉えるべきだろう。
「大衆娯楽」などという表現は、もはや除霊すべき言霊
過去に「大衆娯楽」としてパチンコを支えてきた3つの要素は「安い・近い・短い」である。安いとは、低交換率・交換差益・高い出玉率・新店や入替時の赤字放出などを指す。近いとは、自宅から・職場から・通勤通学途中などから文字通り身近な場所にあることを表している。そして短いとは、単純に距離や移動時間に加えて、暇つぶしとしての二次目的と表現できよう。
これらが重なり合うことで「大衆娯楽」としての位置付けを確固たるものとしてきた時代はたしかに存在していた。しかしながら今は、そんな時代ではないことを皆さん百も承知だろう。にもかかわらず、対象を「一般大衆」としたままで、ファンを増やそうなどと言うのは滑稽極まりない話である。「顧客の支持」を掌握・分析して「こだわり客」を拡充しなければ、パチンコファンなど増えようはずもないのだ。