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自称「アイドル店長さあにゃ」が追及するマルハンイズム

実在の店長は気さくな女性

『マルハン八千代東店』はパチンコ360台(うち、低貸し120台)、パチスロ120台と系列店のなかではやや小ぶりなホール。郊外型ロードサイド店なので駐車場は420台ぶんを備える。今年の8月でグランドオープンから18年となるが、店内の遊技環境は良好な状態に保たれ、飲食店が併設されているため、利便性も高い。

同店の紹介はこのぐらいにしておき、まずはお目あての店長とうやうやしく名刺交換。もちろんアバターではなく、実在する〝さあにゃ〟さんとの交換だ。アバターとご本人が似ているのかどうか、年齢も含めて無粋なことはあえて問わない。とても明るく気さくな女性だった。ではなぜ、よくある「盛った」画像ではなく、作成に手間がかかるはずのオリジナルキャラなのか。その理由から聞いてみた。

「実は、千葉県内に展開するマルハン各店の店長に就任すると、それぞれ似顔絵のキャラを描いてもらえるんです。新台入替のチラシなどで使用するためのキャラなんですが、昨年の暮れに千葉マルハン全店でツイッターのアカウントを開設するという話になり、どうせなら、似顔絵よりアニメのようなキャラのほうが若者世代に親しまれやすいかな、と考えた結果、専用のアプリをつかって描きました」

ホールのバックオフィスに飾られた似顔絵もご本人の特長をよくとらえていたが、ツイッターに登場する〝さあにゃ〟さんのように、日ごとのつぶやきにあわせて表情や身ぶりをかえるには、複数のバージョンが必要になる。一方、デジタル技術をもちいてつくられたキャラならば表現の自由度が高く、ツイートを閲覧するひとたちの想像力も豊かなものになってくるに違いない。

ビールと肉があればそれでOK

全国にホールを展開するマルハンは、社員同士の人事交流や人材育成をはかるため、頻繁に転勤させることでも知られる企業だ。東京都出身の〝さあにゃ〟さんにも北海道の店舗に勤務していた時期があった。

「休みの日はパチンコ店で遊技をしたり、温泉に行ったり。最後にビールを飲み、焼き肉を食べるのが基本の流れでした。仕事終わりは、ラーメンを食べて帰宅する。夏場は仲間たちとよくバーベキューもしましたよ。北海道なのでもちろんジンギスカンです」

食べものに好き嫌いはないと話す〝さあにゃ〟さんだが、一方で特別なこだわりもなく、ふだんはビールと肉があれば毎日でもかまわない。意外に豪快な性格なのだろう。入社後まだ間もない頃でさえ、同僚たちにつけられたニックネームは「おかん」または「おとん」。豪快さもさることながら、気さくで親しみやすい性格が年齢にふさわしくないニックネームの由来になってしまったのかもしれないが、彼女はかつて、後輩たちからとてもおそれられる存在でもあったそうだ。理由は〝さあにゃ〟さんの経歴に関係していた。

この記事を読んでいる〝さあにゃ〟さんの「教え子」たちならばすでにお気づきだろう。『八千代東店』の店長になる前、〝さあにゃ〟さんといえば後輩たちに接客を指導するサービスアドバイザーだったイメージが強いはず。「接客のマルハン」ともいわれる同社だけにその指導ぶりは徹底しており、密かに系列各店をまわっては接客の点数までつけていたそうだからおそれられても仕方がない。

「マルハンが店舗数を急拡大させていた時期に従業員教育、とくに接客の教育がややおろそかになってしまったのでしょうね。わたし自身も接客業に携わりたくて入社した経緯があったので、これではいけない、というオーラが出まくっていたのかもしれません」

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