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パチンコ店の喫煙環境とイメージ戦略の両立 〜加熱式たばこエリア9割越えの『ピーアーク北千住SSS』の今

『ピーアーク北千住SSS』は本年6月6日のグランドオープン当時、業界内をにわかに騒がせた。加熱式たばこプレイエリア(以下、加熱式エリア)を設置するパチンコ店は全国的に増えつつあったが、日遊協が作成した「分煙環境整備マニュアル」では同エリアの設置を「常識の範囲」としており、9割を超える同店のそれは業界内でも「限りなくグレーではないのか?」とされていた。

そんな同店もグランドオープンからすでに3カ月が経過。他店の状況も含め、本年9月1日にあらためて稼働調査をおこなった。

感染症対策にも万全を期す

話題性において格好の材料を提供した『ピーアーク北千住SSS』は、開業当日に90.4%という稼働記録を残している。ワンフロア構成の店内に261台のパチスロを置き、28台を除くすべての遊技機を加熱式エリア内に設定。この比率は開業から3カ月経った今も変わっていない。

今回の客数は加熱式エリア内が83人(稼働率35.6%)、禁煙エリア内が11人(同39.3%)。機種構成では「ジャグラー」シリーズや「ゴッド凱旋」、「バジ絆2」といった同店における主要機種を加熱式エリア内に設置し、禁煙エリア内は「まどマギ叛逆」7台、「〈物語〉セカンドシーズン」4台のほかはバラエティー構成となっている。

わずかながらも禁煙エリアを残した理由は、昨年2月に厚生労働省健康局長から発せられた「客席の全部を指定(加熱式)たばこ専用喫煙室にすることは(中略)認められない」との通達を踏まえた判断だと思われるが、両エリアの境を区切るガラスの壁は天井まで達していながら完全分離ではなく、その役割はパーテーションに近い。喫煙スペースならびに加熱式エリアを設置する際に求められる「入口風速0.2メートル/秒以上」の基準がクリアされているかどうかは不明だ。また、景品カウンターは禁煙エリア内に設けられている。

さらに同店は加熱式たばこ派だけに限らず、紙巻き派を含む6人の愛煙家が一度に利用できる喫煙スペースも設けた。同スペースのテーブルには吸殻が自動吸引される灰皿と飛沫防止用の仕切りを備えるなど、感染症予防対策もぬかりがない。同店の目と鼻の先には足立区が設置した屋外喫煙所もあり、愛煙家や同店にとっては都合がいい環境になっている。

エリア設定で差別化

近隣にある『コンサートホール北千住』もまた加熱式エリアを設ける店になっている。同店のフロア構成は、1階がパチンコ、2階にパチンコと一部のパチスロ、3階にパチスロの主要機種と同低貸を設置する。禁煙エリアは1階のみ。パチスロフロアにかぎって加熱式エリアを設ける店が多いなか、同店の2階ならば加熱式たばこを吸いながらパチンコが打てる。

パチンコフロアに同エリアを設ける店は例外的な部類だと言っていい。同店では機種の選定にも工夫がみられ、2階の主力は「海」シリーズの合計43台で「源さん超韋駄天」と「エウレカハイエボゼロ」も6台ずつ。低貸パチンコ91台をあわせた292台の総客数は85人だった。

一方、1階の主力は「北斗無双」(21台)や「慶次2漆黒」(14台)にくわえ、「海」シリーズ(計64台)など。低貸59台も同フロアに置かれ、合計345台の客付き総数は100人を数えた。多くの客が禁煙の1階を選んだ理由は加熱式たばこのわずかな煙さえ避けようとしたのではなく、主力の豊富さに傾いた結果だと言えそうだ。

加熱式エリアを設置するにあたっては、その範囲ばかりではなく、喫煙室の充実や遊技機の種別および機種の選定など、さまざまな要素を考慮しなければならず、投資に見合った収益があげられるか否かも検討材料のひとつになるだろう。なおかつ、経過措置が認められているとはいえ、「改正健康増進法」の主旨である受動喫煙を防止する観点も置き去りにはできない。

加熱式たばこ派への手厚い配慮か、もしくは、煙も臭いもないクリーンで安全な遊技環境の提供か。イメージ戦略における長期的な視点も欠かせない。


コメント:4件 コメントを書く

  1. 個人的な見解だが加熱式エリア設置店ってイケてない店が多い気がしてる

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  2. タバコをやめたお金を軍資金の足しにしたら 。長い人生の たったの120日我慢したらタバコの事なんて考えなくなるし、いい事だらけ。もしかしたらパチンコも辞めれたりして

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